●当事務所が設計監理させていただいた神奈川県三浦市の「みらいのいえ」に
久々に伺わせていただきました。
6〜7年ぶりの訪問で、建主の荒井様ご夫妻と
大きくなられたお子様方もお元気で
安心しました。
屋根がない可変可能なテラス上の木のフレームの部分は痛みがあったので
「今後交換や屋根を貼るなど考えましょう」
という話をしましたが、
それ以外は草屋根も含め、家自体には根本的な不具合もなく、
心地よく過ごせているとおっしゃっていただき、
とてもうれしく思いました。
自分が久々に訪れて感じたのは
「空間の密度が上がった。」
という印象でした。
家具や仕切り、スクリーンなどの要因もありますが、
経年変化で木の色が濃くなったこともあり、「空間が凝縮された」
感じがしました。
やはり「建築は人が中に入って生きる。」と実感しました。
■コミュニテイ・ビルド というワークショップによる施工
この建築の特徴は建築自体とともに施工を「コミュニティ・ビルド」という荒井さんご自身による
ネーミングとともに、施工を10回近くワークショップで行い、たくさんの方が参加されたことでした。
お住まい完成後も薪小屋、作業小屋などをたくさんの方とともにワークショップでつくられ
常に成長する「完成しない家」をつくり続けられています。
この10年、3人のお子様の成長と共に、お子様とご夫婦の部屋の変遷を伺い
その面では「自由に仕切ることができる家」が良いとのご感想もいただきました。
■土地について
荒井さんのお話を伺いました。
「この土地には長い歴史があり、それを感じながら暮らしている。
自分たちはこの土地に一時的にご縁があって住ませていただいており、
次の代にこの土地をどう引き継ぐかが自分たちの役割」
という意味のことをおっしゃり、まさしく今自分が考えていることで
とても共感するものがありました。
■土地倫理・環境倫理
アメリカの野生生物生態学者アルド・レオポルドが唱えた環境倫理という考え方
を最近知り、とても共感しています。
そこからは
「土地は人間だけのものではなく、人間の論理だけで開発を行ってはいけない」
というところから発展し、
環境を「人間 対 自然」と捉えるのではなく、
「全ての生物は一つの生命体である」
という思想につながるのではないかと解釈しています。
気象危機といわれるいまとこれからの時代、
一つ一つの住宅や建築が地球全体に大きな意味を持ってくると思います。
一つ一つの建築をつくりながら、少しでもいい方向に向かうきっかけを
つくることができればと考えています。
=====
■ みらいのいえ youtube 動画 2016
Posted by 遠野未来 at 17:30 | ■みらいのいえ | comments(0) | -