●現在エコロジーというと「自然環境」をいうことがほとんどで、
建築でも、ほとんどエコハウス=「省エネ性能が高い環境負荷が少ない建築」 のことを指しています。
もちろん、地球温暖化抑制のため特に日本でこれからの時代それが必須なことは間違いありませんが、
エコロジーを語る上でそれだけでない視点があります。
それが哲学者フェリックス・ガタリが唱えた「3つのエコロジー」です。
■自然・社会・精神 3つのエコロジー
ガタリは、エコロジーには一般的にいわれている「自然環境」のエコロジーの他に「社会」のエコロジー、
「精神」のエコロジーがあり、従来のエコロジー運動の環境問題の解決だけでは現代社会の危機に対処しえず、その3つを結び合わせる必要があると「3つのエコロジー」を唱えました。
社会的エコロジーとは、「社会的初関係」に関わり、夫婦や家族、都市生活や労働の場における人間の存在の仕方を変革したり、最創造するもの。
一方、精神的エコロジーとは「人間の主観性」に関わり身体や幻想、過ぎゆく時間、生と死の「神秘」などに対する主体の関係の再創造に向かうもの。とのこと。
精神のエコロジーとは創造的自律性が人類の人類による信頼の回復につながり、それは「芸術」のとる方法に近いとしています。
3つのエコロジーにおいて人間の主体性・主観性に関わる「精神のエコロジー」が他の2つのエコロジーの基盤になり、そこから出発することが重要だと思います。
それは人の心を動かずことが人と人をつなげ、それが自然環境を変えてゆくことです。
そう考えるとエコロジー運動にはいままで以上に、人間の心を起点にした
主体性や主観性が集団と一体となって展開される様々な形や自由な表現があっていいのではと思います。
その中で自分は建築や芸術・アートの力を信じ、エコハウスといわれる建築もこれからもっと多様な表現が生まれ、
受け入れられていくことを期待してこれからも活動していきたいと考えています。
■全存在と主観性
逆に人間だけではなく「全存在は生きており主体性・主観性を持っている」
「全存在に精神が宿っている」と考えれば
3つのエコロジーは人間に限らず動植物や風景、物質など全存在の精神から始まり、それが自然環境に還るという
大きな循環になります。
人間はそのいのちをいただき、無限の選択からできる限りそれを生かし一つのものや場をつくることしかできない。
一つ一つの存在が全体に影響を与える有機的関係をもつものを「森」と考えれば
地球全体が大きな「森」でもあります。
地球という森が「秩序をもったカオス」として全存在の一つ一つが結びつくよう生かしてゆくことが重要になります。
建築をつくる上で、すべての存在に感謝し、そこから考えたいと思います。
Posted by 遠野未来 at 07:41 | ■エコロジー・環境・バウビオロギー | comments(0) | -