●先日訪れた小阪商会さんでの土について、ご一緒したイタリアの方からの質問がありました。
要点を共有しておきたいと思います。
土のことをいつも教えていただいている京都の左官さん、佐藤ひろゆきさんにも確認してみました。
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わらが土の細菌と反応し分解して、土の色が変わり,土によって黒ずんだり青みがかったりします。
1 練った土の色の表面だけ違うのはなぜ?
・・・土の中の鉄分が空気に触れて酸化し、土の色に戻る。
2 わらを寝かせる効果と期間
長野の文化財では使う土は練って「2年以上」という規定があるとのことですが、
土を練り置くと何がいいのですか?
・・・荒壁の土をわら混ぜて水で練って置いておくことを「水合わせ」、通称で「寝かせる」ともいい、
長い期間置くのが良いといわれます。
その効果としては
わらが土の細菌と反応し、分解して細かくなることで
・ 塗った壁が乾燥に伴う収縮が少なく、割れにくくなる。
・ 塗りやすくなる(作業性の向上)。
などの効果があるといわれています。
ただし、わらが細かくなることで、土の圧縮強度が落ちるため、水合わせの期間
定期的に新しいわらを入れ、練り直し、強度を増すようにします。
寝かせる期間は現場や土、工期により異なりますが目安として
夏で3ヶ月以上
冬で6ヶ月以上といわれ
1〜3年と地域や発酵の度合によって期間も異なるようです。
ただし、都市部ではその場を確保するのが難しく、現場で土を寝かせることも少なくなり、今では土壁も減り、そのために必要とされていた既調合の「ドロコン」屋さんもほとんどなくなり・・・長野では小阪商会さん1軒だけとのことです。
「その土づくりの技を絶やさないようどうしたらいいか?」・・・まちおこし協力隊として若い人を受け入れてはどうか・・・などという話題にもイタリアの方となりました。
土壁の家がいいと思うのは万国共通であることは間違いありません。
ぜひ皆様と一緒に考え、一緒に一つでも多くの場をつくっていきたいものです。
土の発酵や化学的性質や反応に関しての詳しい内容は研究されている方がたくさんいらっしゃるので、
ご興味ある方は、ぜひいろいろネットや文献にあたってみていただければ幸いです。
#土壁、#荒壁、#Japanese earth wall
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未来をつくる土の建築/ Eartharchitect
遠野未来建築事務所 遠野未来
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Posted by 遠野未来 at 22:33 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)