●最終日 天端の仕上げと内部の様子です。
前日塗った色モルタルを金ブラシで掻き落としました。
この壁は隣接する本館の上から見えるので、壁となじむように平滑ではなく
少しだけ風合いを出しました。
また突き固めができていないところは穴埋めなど部分的に補修を行いましたが、
全体的にはほとんど目立たない範囲です。
そして、急激な乾燥は割れる原因になるので脱型後も何度も噴霧器で水をかけていただき、
現在まだ濡れている状態です。
今後乾燥して色が薄くなっていくのと、石灰の粒も風雨にさらされ目立たなくなっていくと思います。
●内部の飾り棚
版築にこのようなニッチをつくるのは初めてでしたが、型枠を抜けるように
工夫すればできることがわかりました。
高さ巾とも22cmで本が置けるような大きさにしました。
●ソーシャル・ディスタンス 内部と外部
Libraryをイメージしたこの版築は中にやっと一人人が入ることができる
大きさです。
しかし、前と上が開いていることで閉塞感ではなく、土に包まれた
安心感を感じる空間になっています。
ソーシャル・ディスタンスが求められる現在、一人の人間にとって
「安心できつつ開かれた」このような空間が有効なのかもしれません。
中から外の庭を見た様子です。
切り取られた土の壁から緑の庭を見ると精神的に「落ち着く」感じがします。
●工期と今後の展開について
以上で工事自体は終了です。
1周間養生期間を置き本日養生を外す予定ですので、
最終形は改めてご紹介させていただきます。
当初はここまで10日間の想定でしたが、職人さんの計算された段取りと
手早い作業のおかげで約半分の6日で終了しました。
前回も書きましたが、版築は作業・強度の標準化とともに
「工期とコストをどう短縮するか」が今後広がるかどうかの鍵になります。
自分としては次回は海外で行われている「プレハブ化」にも挑戦したい
と思います。
●気象危機時代の土の建築の可能性
気象危機の現在、これからは製造にできるだけエネルギーを使わない素材を使うことが
大前提になると思いますし、そうあるべきだと思います。
その中で土の建材としての活用はセメントの使用量を少なくすることができ、
地球環境ににとって大きな可能性があります。
土の活用について今回はそのためのささやかな一歩です。
今回のような残土の活用や版築のプレハブ化などにご興味ございます方は、
一つ一つ事例をつくっていこうと思っていますので、
ぜひご連絡いただければありがたいです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
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#版築、#Rammed Earth, #東京工事残土、#残土利用、
#リサイクル、#アップサイクル
Posted by 遠野未来 at 08:42 | ■九段版築ライブラリー | comments(0) | -