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木造伝統工法
木造の剛性


 今日は日本建築学会主宰の「木質構造の設計」セミナーにいってきた。

 建築基準法は近年毎年のように改正されているが、設計者もデザインはもちろん制度の面でも常に新しい動きに敏感でないと生き残っていけない。特に耐震偽装以来 建築家や構造設計者のモラルやあり方が問われることになり、ご承知の通り昨年大きく確認申請の手続きが変った。なかなか確認申請が下りず、構造不況といわれるほどである。設計事務所をたたんだ方も多いと聞く。
 
 現在木造の工法は7種類とかなりバリエーションがふえており、法規を満たせば4階以上や大規模建築も可能である。その中でも「木造在来工法」と「伝統工法」の項目がやはり一番興味深く、特に木造伝統工法の実験による構造的解析が、かなり充実してきているのが嬉しかった。

 今一般的につくられている柱・梁・筋交・金物による木造住宅は「在来工法」といわれここ数十年の歴史しかない。それに対し古来日本の民家や社寺で使われていた柱・梁・貫・土壁・板壁による木造が「伝統工法」といわれ、筋交や金物を使わず、木組みと土壁や板壁で持たせる工法である。

 表で示した、建物の経年と固有周期を調べると、木造工法の変化でここ数十年で建物が約4倍の剛性をもつようになっているという。(固有周期が短いほど揺れにくい。)現在の木造住宅は地震に対し、金物の強度で「剛」につくるやり方で、木造ではなく「金物造」だと思うこともある。

 それに対し、「柔」なのが、「伝統工法」で、構造家の増田一真先生方がそれを現代に生かそうと金物を使わない「新伝統工法」を唱えており、非常に魅力的な実例をつくられている。在来工法をさして「木造は壁で持っている」と教わったが、全く壁なしでも構造的に成り立つという。使う材木の量は増え、コストも何割かは上がるがその分、代々にわたって長く住みつづける家が出来る。

 日本の風土に合った現代的でやわらかな家・・・自分もこの工法をもっと勉強し、現代に生かしたいと思っている。


Posted by 遠野未来 at 22:36 | ■設計・現場 | comments(0) | trackbacks(0)

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