■竣工後5年が経ち、このたびいくつかメンテナンスすることになりました。
不具合があったわけではなく窓や建具・設備の調整など細かなことが主な点です。
その中で一番のポイントは、当初から想定していたのですが、建主様にお子様ができたのを機にお子様が小さな間、
手すりに落下防止のネットを貼ることです。
手すりの色が黒なので、黒しかイメージしていませんでしたがネット業者さんに来ていただいて、色味を見ると土壁のいろに合うグレーが目立たなくてよいのではとなりました。
手すりの高さに合わせオーダーメイドでつくることができるとのことで、来週取り付け予定です。
また、トップライトのガラスが汚れて外が見えなかったのですが、工務店さんに掃除を
していただき、見事にきれいになりました。
寺島工務店の上野様、どうもありがとうございました。
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●日本建築家協会 JIA 長野支部が出している長野の建築家の方の住宅の作品集 信州の建築家とつくる家の19号が
発行されました。
あいにく当事務所は住宅の新作がなく本編の掲載はなかったのですが、
昨年行われた第2回JIA長野建築賞に入選した「Shell House/もりのいえ」をご紹介いただいています。
長野でお住まいを考えられている方やご興味がある方など、
お手に取る機会がございましたら、
ぜひご覧いただきますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
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● 写真は長野県生坂村の美しい風景です。ここは犀川(さいがわ)が流れる豊かな山間の風景が広がる村で、縄文時代から人が暮らしていたようです。全国どこもそうですが、ここでも土地にまつわる言い伝えがあります。「犀竜泉小太郎の伝説」「犀竜(さいりゅう)泉小太郎の伝説」というもと湖であった松本・安曇野が平地になる過程の伝説です。
■ 神話と現代 これからの暮らし
現代の目からいえば神話や伝説は科学的根拠のない言い伝えという考えが主流と思いますが、
私は数千年来の常民の習慣・俗信・伝説には必ず深い人間的意味があるはずである。という
柳田国男さんの考えに共感しています。
かの有名な「遠野物語」の序文にこの書は「現在の事実」であり、「願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。」とまで書いた激しい思いはどのようなものであったのでしょう。
その土地の物語を抜きにした暮らしや住まいはない と思います。
作家・大江健三郎さんが小説で書かれたように、都市への集中に対し、周縁の村から 宇宙観、再生の思想を軸とする死生観により 独自の文化を再建する思想が今必要とされています。
21世紀の現在、日本と世界で広がりをみせていることを心強く思い、自分もその力になることができればと願っています。
写真:生坂村ウェブサイトより
https://www.village.ikusaka.nagano.jp/gyousei/muradukuri/daisukitai.htm
]]>●当事務所が一昨年からアースオーブン、屋外キッチン、バイオトイレづくりで
関わらせて頂いている長野県生坂村 いくさか『創造の森』プロジェクトの
打ち合わせで本日 生坂村に久しぶりに伺いました。
スケジュールとしては今年・来年でオフグリッドハウスの設計と施工を行う予定ですが、
それだけではなく農的暮らしの推進や作業で生坂村が地域おこし協力隊(いくさか大好き隊)
として3/31までスタッフを数名募集しています。
内容・条件など詳しくはこちらをご覧ください。
■ゼロカーボンシティ宣言 生坂村
生坂村は
令和4年6月に「生坂村ゼロカーボンシティ宣言」を行い、環境省の脱炭素先行地域に選ばれ、今後の数年間、ハード、ソフトとも様々な脱炭素事業を計画しています。オフグリッドハウスはそのシンボルという位置づけで、オフグリッドの暮らしを体感できる宿泊施設として構想されています。
https://www.village.ikusaka.nagano.jp/gyousei/muradukuri/datutanso_senkoutiiki.html
その内容はすでにメディアでも取り上げられていますが、コンセプトに共感して持って関わりたいという
企業や若い方がすでにあつまりつつあるとのこと。
ぜひ参加してみたいと思う方はぜひ応募してみてください。
どうぞよろしくお願いします。
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写真は去年までの様子です。引き続き工事を行い今年は給排水設備などを整備予定です。
曲線を使ったやわらかな形状で周囲の山並みになじんでいると思いますが、いかがでしょうか?
アースオーブン 屋外キッチン
バイオトイレ
]]>●遅ればせながら応急危険度判定士の養成講座を受講しました。
当事務所がある長野県の建設部が主催した資格講座です。
今年元旦の能登半島地震が発生して、すぐどのようなことでもお役に立ちたい・・・と応急危険度判定のボランティアに参加しようと思いましたが、資格がないと参加NGとのことで、この機会に取ろうと思いました。
自分としては、そもそも応急危険度判定士とは何かすらわかっていませんでした。
応急危険度判定は、地震後の余震等による2次災害を防止するため、応急的に建物の安全性をチェックするためのもので、建築物の資産価値を調査する罹災証明のための被害調査とは異なるとのこと。
被災地で緑(調査済)・黄色(要注意)・赤(危険)の張り紙をご覧になった方もいらっしゃると思います。
一般財団法人 日本防災協会ウェブサイトによると
2023年3月末現在で全国に 105,912名 約10万人登録されているとのこと。
講習では判定の判断基準や調査の仕方などを教わり、建築の有資格者で講習を受ければ
資格をとることができます。
もちろん実際に判定することがないに越したことはありませんが、今後日本全国どこでも震災は避けられないであろうという中、少しでも人命と社会の役に立つことができればと願うばかりです。
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一般財団法人 日本防災協会ウェブサイト
https://www.kenchiku-bosai.or.jp/assoc/oq-index/
三色の判定用紙写真も同サイトより。
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●Toiletowa 森の中の全景写真と全体の水の循環の断面図です。
全体断面がないとこの建築の意味がわからないであろう・・・といろいろ考え
ようやく図にすることができました。
トイレの水循環とともに、「水の柱」である森の木々-建物-土中水脈-木々 という
もう一つの水の循環を示しています。
建築の力以上に微生物による複合発酵と
大地の再生による森と土の力を感じた現場でした。
目に見えない微生物や自然の生態系の中で、
人間はほんとうに小さな存在です。
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●能登半島地震の復興計画の検討を含め能登町に設置されている
AQトイレを視察してきました。
水の補充は必要になりますが、バイオトイレとしての機能は引き続き有効です。
そのうえで先日ご紹介した動画への追加として後ろ側にタンクが増設されていました。
その意味はトイレの再生水の循環と別に手洗いの水の循環ルートをつくったということです。
このシステムは今回の実証での効果が実証されたことになりますが、
汎用化に向けた今後の改善点としては
・現地での仕上げを考慮し、現在かかっているコストを下げること
・システムと大きさのコンパクト化
が考えられます。
ただし、単体でのコストはまだまだ大きなものの今後の復興で下水のインフラを再建するよりは
小さなコミュニテイ単位での排水処理に使えば、大きなコストダウンが図れる見込みがあります。
それも踏まえ、今後の復興計画のご提案ができれば
と考えています。
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■能登半島地震の避難所に設置された複合発酵バイオトイレの仕組みの動画です。(1分半)
当事務所が埼玉県のトイレトワで使用した機構のコンパクト版で、
全く匂いもせず、微生物の力で汚水を浄化し完全循環できる機構です。
今回の震災のトイレでウォシュレットが使えるのはこのトイレだけではないかとも言われ、
特に女性に非常に喜ばれているとのこと。
今後避難所や山小屋、キャンプ場など多くの場で活用が期待できます。
わたしたちは様々な場面での活用に向け、これをプロトタイプとし、
更にデザインとして洗練させ、コスト面でも手に取りやすい金額のものをつくっていきたいと考えています。
ぜひご覧ください。
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■ youtube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=RAO77sYeGuU&t=1s
■A.Q トイレ詳細
https://www.pdt-g.co.jp/vision/pickup/details.html?itemid=418&dispmid=713
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APDCとはAsia Pacific Design Centerアジアパシフィックデザインセンターのことで、中国を拠点に世界各地の建築やインテリアデザインの協議会と連携して活動しています。
この賞はアジアの建築やデザインが対象ですが、審査員は全世界の著名な方々で、OYAKI FARMはヨーロッパのBLTデザイン賞の方が推薦していただいたとのことです。
ぜひ、海外の方の感想や批評を聞いてみたいです。
海外の中規模木造建築は機械でつくることがほとんどではないかと思います。
写真だけでは海外の方にはわからないかもしれませんが、OYAKI FARMの約50mx50mの屋根とホールの木組みは、日本の大工技術の手仕事でつくられていることを伝えられれば、うれしいです。
■ 日本と海外の建築・デザインの連携と発信を
当事務所にも海外の建築のウェブサイトで紹介したいというオファーをよくいただきます。
昨年はトルコの建築大学の授業としてZOOMでお話させていただいたこともありました。
インターネットで世界が狭くなっている現在、海外と連携して活動することはしやすくなっていることと思います。
今後一層、海外の方々と交流しながら作品の発信や交流、実際の建築づくりを実現できればと
楽しみにしています。
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関連する賞や団体の詳細はこちらをご覧ください。
"Asia Pacific Design Center" (APDC),
BLT Built Design Awards
IFI – the International Federation of Interior Architects / Designers (IFI)
WDO World Design Organization
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■ TOILETOWAにおける水と空気による生態系の循環を現した図です。
雨水と汚水を微生物の複合発酵で再生した再生水と大地に水と空気を通す「大地の再生」により、
「建築」から「森の再生」までつながることを目指しています。
これはTOILETOWAに限らない、私たちが目指す建築を起点とする生態系再生のコンセプト図です。
森の植生は本来は広葉樹の「その土地本来の木」による多様な植生が望ましいのですが
少しづつ、森を本来の植生の森に戻して行くことも含め、「森の再生」を目指したいと思います。
写真は敷地の鳥瞰と全景です。
Photos by takeshi noguchi
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「ワタシのミライ」のシンポジウムに参加してきました。
今年2024年は国の政策「エネルギー基本計画」が改定される予定になっている年ということで、
「今年動かないと取り返しがつかなくなる。」
という思いで各団体のみなさんが力を合わせ、国に働きかけようとしています。
どのような方々が実際どのような議論をされ、活動しているか知りたかったというのが私が実際に会場参加した理由でした。
若い方ばかりで浮くかもしれない・・・と不安もありましたが、各年代様々な方が参加されており、特に若い高校生や大学生のみなさんのスピーチに心が動かされました。
youtubeでそのときの様子をご覧になることができますので、
ご興味のある方はぜひどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=tm8stdQy52g
ワタシのミライのウェブサイトはこちらです。
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一人ひとり、自分事として気候変動に対しでできることをやっていきましょう。
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■ TOILETOWAの複合発酵タンクです。
扉を外し、タンクの様子を説明できるようにしています。
今回のトイレは大便器3つ(女子2,男子1)で1日の最大の使用頻度を考慮して
このタンクの数にしています。
トイレ棟とタンク棟をつなぐ地中に最初の汚物をいれる第一貯留層があり
そこからこのタンク棟にポンプで送り順次2つずつある発酵種理層、処理層、貯水槽を経て
再生水がトイレと菜園の散水に使われる仕組みです。
複合発酵は高嶋開発工学の高嶋康豪先生が研究開発されたもので、長い歴史があり日本各地でもすでに20年以上の実績があります。
嫌気性菌類と好気性菌類を共存させる複合発酵は理論的には現代科学では解明できない部分もあるようですが、論より証拠でその効果は各地で成果が出ています。
ただし、これまではその浄化の過程とタンクを美しく見せる場がなかったということもあり、今回それを多くの方にも知っていただこうと「見た目にも美しい建築」を目指してこのタンク棟を設計しました。
■複合発酵 バイオトイレの今後に向けて
ただし、これで複合発酵バイオトイレのシステムが最終形というわけではありません。
現在は電気と上水を使っていますが、今後は、ばっ気で使用する電気を太陽光発電にしたり、蒸散防止のための加水の水を雨水を利用したりして、最終的にはオフグリッドでも複合発酵ができることを目標にしています。
現在のTOIRLETOWAも今後オフグリッド化ができるよう検討していこうと思います。
また今使っている既製品のタンクをバイオプラスチックにすることや、現在各地でおきている震災の対応も
できるような移動式の複合発酵トイレを検討しています。
■建築から大地と森の再生へ
再生土のトイレ棟とこのタンク棟、そしてタンク棟の円環につながるレイズドベッド(かさあげ菜園)
がここの建築部分ですが、それだけでは建築に再生技術を使った設備を組み込んだということで終わりになってしまいます。
今回は更に建築と大地と森をつなぐ「大地再生」も行い、建築が森の再生につながる試みを行っています。
引き続き、今回WAKUWORKSさんにお願いした「大地再生」の取り組みもご紹介させていただきます。
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■複合発酵バイオトイレ TOILETOWA
当事務所ではオフグリッドや循環の暮らしを目指す第一歩として昨年、
複合発酵の原理を使った微生物による水循環システムのバイオトイレ TOILETOWAを
循環をデザインするトップランナーである石坂産業様の拠点である埼玉につくらせていただきました。
一般公開に向け現在準備中です。
トイレで使った水を微生物の力で浄化して循環させて利用するのがまず第一ですが、
それだけでなく、その水を栄養分のある再生水として周囲の木や菜園、農園に散布すると
化学肥料なしでも大きく成長し、周囲の土壌回復や森の再生にも効果があるというシステムです。
そしてそれは単なるトイレではなく、これからの時代の
「杜をめざす循環する世界」を表現し、その入口となる施設
と私たちは考えており
水の循環はもちろん壁の土や造作の木の板、ガラスそして便器と手洗いも再生材でつくられています。
昨年12月末にその発表会を東京の九段ハウスで行わせていただきましたが
満員御礼で、皆様の関心の高さを感じました。
■ TOILETOWA とは?
その中でTOILETOWAの命名者であるグラフィックデザイナーの佐藤卓さんと石坂典子社長の対談もあり
とても興味深かったのですが、佐藤さんとして
TOILETOWAの名前には
トイレとは?
トイレ 永遠(永遠の循環)
トイレと 輪 (円と循環)
などの思いがあるそうです。
初めてお会いした佐藤さんは大御所でもありながら、
謙虚で優しい表情が印象的でした。
そしてこの建物に対し、「輪郭が曖昧で周囲に溶け込んでいてとても良い。」
とおっしゃっていただき、とてもうれしく思いました。
詳しい紹介に先立って、建築写真家 野口毅さんによる素晴らしい写真を
いくつかご紹介させていただきます。
内容の詳細はまとめ次第、改めてご紹介させていただきます。
石坂産業様によるプレスリリースはこちらを御覧ください。
https://ishizaka-group.co.jp/news/article/3a0d-41nuvg/
以上、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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All photos by takeshi noguchi
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■完成は来季になりますが、建築工事があらかた終了したので途中報告になります。
手のかかる工事を手掛けていただいた生坂村在住大工 斉藤裕二さんに心から感謝申し上げます。
工場で加工し、移設可能なよう2t車で運べる大きさ1.6mx1.6m以内でつくりました。
自分がこれまで手掛けた最も小さな建築です。
通常それだとできるだけ広くと1.6mの正方形や円形にするわけですが、今回更に寸法を絞り、トイレの便座部分と手洗い部分を分け極限的に細い縦長のプロポーションにしました。
顔感もトイレに見えないようにしたかったので、軒も出ておらず、壁に窓はありません。
勾玉型の平面の屋根には天窓と1/50の勾配がついており、先端の木の雨樋から水が外に流れます。
■内壁の土壁は荒壁仕上げに。
土壁の枠周りの仕上げ、浄化槽や細かい設備の取り合い、外構は来年になります。
ここは現時点では水も電気もきていないオフグリッドの場所。何よりバイオトイレの機構をどうするか
来年に向け課題です。
土壁は地域の土での中塗り仕上げの予定でしたが、
この段階で村の担当の方にみていただくとこの荒壁の割れの様子が新鮮で、「これを仕上げにしましょう。」とのことで、土の生きた肌の感じで仕上げにする予定です。
荒壁の表情は改めてご紹介させていただきます。
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●今年タニタハウジングウエア主催 屋根のある建築作品コンテスト2023でOYAKI FARMが 審査員特別賞をいただきました。
12/9の表彰式には残念ながら体調不良で出ることができませんでしたが、昨日タニタのスタッフ関さんが軽井沢の事務所を訪れてくださり、直接盾をいただくことができました。
雨樋や屋根を扱っているメーカーさんらしく、盾の字の部分は板金折り曲げでデザインされています。
使われている写真もアクリルにプリントされたもので、とても凝ったデザインになっています。
タニタの皆様、審査員、スタッフの皆様、そして何より屋根と樋を施工していただいた二見屋さんに心から感謝申し上げます。
施工時の図面も見せていただきました。屋根屋さんとタニタさんで設計者が見えないところで施工図のやり取りがあったこと、職人さんの世界ではこうやってできていくのか・・・ということをかいま見ることができました。
屋根を施工して頂いた二見屋さんは東京駅の施工も手がけられた一流の職人さん方たち。
今回私の方からは基本事項を決めたあとは現場の納まりはおまかせし、完璧な施工をしていただきました。
とくに雨の時、入口の両側から雨が約6m下の雨落としの砕石に向かって滝のように流れる様は圧巻です。
雨の時ぜひご覧いただければ幸いです。
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