■竣工後5年が経ち、このたびいくつかメンテナンスすることになりました。
不具合があったわけではなく窓や建具・設備の調整など細かなことが主な点です。
その中で一番のポイントは、当初から想定していたのですが、建主様にお子様ができたのを機にお子様が小さな間、
手すりに落下防止のネットを貼ることです。
手すりの色が黒なので、黒しかイメージしていませんでしたがネット業者さんに来ていただいて、色味を見ると土壁のいろに合うグレーが目立たなくてよいのではとなりました。
手すりの高さに合わせオーダーメイドでつくることができるとのことで、来週取り付け予定です。
また、トップライトのガラスが汚れて外が見えなかったのですが、工務店さんに掃除を
していただき、見事にきれいになりました。
寺島工務店の上野様、どうもありがとうございました。
]]>
●日本建築家協会 JIA 長野支部が出している長野の建築家の方の住宅の作品集 信州の建築家とつくる家の19号が
発行されました。
あいにく当事務所は住宅の新作がなく本編の掲載はなかったのですが、
昨年行われた第2回JIA長野建築賞に入選した「Shell House/もりのいえ」をご紹介いただいています。
長野でお住まいを考えられている方やご興味がある方など、
お手に取る機会がございましたら、
ぜひご覧いただきますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
]]>
● 写真は長野県生坂村の美しい風景です。ここは犀川(さいがわ)が流れる豊かな山間の風景が広がる村で、縄文時代から人が暮らしていたようです。全国どこもそうですが、ここでも土地にまつわる言い伝えがあります。「犀竜泉小太郎の伝説」「犀竜(さいりゅう)泉小太郎の伝説」というもと湖であった松本・安曇野が平地になる過程の伝説です。
■ 神話と現代 これからの暮らし
現代の目からいえば神話や伝説は科学的根拠のない言い伝えという考えが主流と思いますが、
私は数千年来の常民の習慣・俗信・伝説には必ず深い人間的意味があるはずである。という
柳田国男さんの考えに共感しています。
かの有名な「遠野物語」の序文にこの書は「現在の事実」であり、「願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。」とまで書いた激しい思いはどのようなものであったのでしょう。
その土地の物語を抜きにした暮らしや住まいはない と思います。
作家・大江健三郎さんが小説で書かれたように、都市への集中に対し、周縁の村から 宇宙観、再生の思想を軸とする死生観により 独自の文化を再建する思想が今必要とされています。
21世紀の現在、日本と世界で広がりをみせていることを心強く思い、自分もその力になることができればと願っています。
写真:生坂村ウェブサイトより
https://www.village.ikusaka.nagano.jp/gyousei/muradukuri/daisukitai.htm
]]>●当事務所が一昨年からアースオーブン、屋外キッチン、バイオトイレづくりで
関わらせて頂いている長野県生坂村 いくさか『創造の森』プロジェクトの
打ち合わせで本日 生坂村に久しぶりに伺いました。
スケジュールとしては今年・来年でオフグリッドハウスの設計と施工を行う予定ですが、
それだけではなく農的暮らしの推進や作業で生坂村が地域おこし協力隊(いくさか大好き隊)
として3/31までスタッフを数名募集しています。
内容・条件など詳しくはこちらをご覧ください。
■ゼロカーボンシティ宣言 生坂村
生坂村は
令和4年6月に「生坂村ゼロカーボンシティ宣言」を行い、環境省の脱炭素先行地域に選ばれ、今後の数年間、ハード、ソフトとも様々な脱炭素事業を計画しています。オフグリッドハウスはそのシンボルという位置づけで、オフグリッドの暮らしを体感できる宿泊施設として構想されています。
https://www.village.ikusaka.nagano.jp/gyousei/muradukuri/datutanso_senkoutiiki.html
その内容はすでにメディアでも取り上げられていますが、コンセプトに共感して持って関わりたいという
企業や若い方がすでにあつまりつつあるとのこと。
ぜひ参加してみたいと思う方はぜひ応募してみてください。
どうぞよろしくお願いします。
====
写真は去年までの様子です。引き続き工事を行い今年は給排水設備などを整備予定です。
曲線を使ったやわらかな形状で周囲の山並みになじんでいると思いますが、いかがでしょうか?
アースオーブン 屋外キッチン
バイオトイレ
]]>●遅ればせながら応急危険度判定士の養成講座を受講しました。
当事務所がある長野県の建設部が主催した資格講座です。
今年元旦の能登半島地震が発生して、すぐどのようなことでもお役に立ちたい・・・と応急危険度判定のボランティアに参加しようと思いましたが、資格がないと参加NGとのことで、この機会に取ろうと思いました。
自分としては、そもそも応急危険度判定士とは何かすらわかっていませんでした。
応急危険度判定は、地震後の余震等による2次災害を防止するため、応急的に建物の安全性をチェックするためのもので、建築物の資産価値を調査する罹災証明のための被害調査とは異なるとのこと。
被災地で緑(調査済)・黄色(要注意)・赤(危険)の張り紙をご覧になった方もいらっしゃると思います。
一般財団法人 日本防災協会ウェブサイトによると
2023年3月末現在で全国に 105,912名 約10万人登録されているとのこと。
講習では判定の判断基準や調査の仕方などを教わり、建築の有資格者で講習を受ければ
資格をとることができます。
もちろん実際に判定することがないに越したことはありませんが、今後日本全国どこでも震災は避けられないであろうという中、少しでも人命と社会の役に立つことができればと願うばかりです。
====
一般財団法人 日本防災協会ウェブサイト
https://www.kenchiku-bosai.or.jp/assoc/oq-index/
三色の判定用紙写真も同サイトより。
]]>
●Toiletowa 森の中の全景写真と全体の水の循環の断面図です。
全体断面がないとこの建築の意味がわからないであろう・・・といろいろ考え
ようやく図にすることができました。
トイレの水循環とともに、「水の柱」である森の木々-建物-土中水脈-木々 という
もう一つの水の循環を示しています。
建築の力以上に微生物による複合発酵と
大地の再生による森と土の力を感じた現場でした。
目に見えない微生物や自然の生態系の中で、
人間はほんとうに小さな存在です。
]]>
●能登半島地震の復興計画の検討を含め能登町に設置されている
AQトイレを視察してきました。
水の補充は必要になりますが、バイオトイレとしての機能は引き続き有効です。
そのうえで先日ご紹介した動画への追加として後ろ側にタンクが増設されていました。
その意味はトイレの再生水の循環と別に手洗いの水の循環ルートをつくったということです。
このシステムは今回の実証での効果が実証されたことになりますが、
汎用化に向けた今後の改善点としては
・現地での仕上げを考慮し、現在かかっているコストを下げること
・システムと大きさのコンパクト化
が考えられます。
ただし、単体でのコストはまだまだ大きなものの今後の復興で下水のインフラを再建するよりは
小さなコミュニテイ単位での排水処理に使えば、大きなコストダウンが図れる見込みがあります。
それも踏まえ、今後の復興計画のご提案ができれば
と考えています。
]]>
■能登半島地震の避難所に設置された複合発酵バイオトイレの仕組みの動画です。(1分半)
当事務所が埼玉県のトイレトワで使用した機構のコンパクト版で、
全く匂いもせず、微生物の力で汚水を浄化し完全循環できる機構です。
今回の震災のトイレでウォシュレットが使えるのはこのトイレだけではないかとも言われ、
特に女性に非常に喜ばれているとのこと。
今後避難所や山小屋、キャンプ場など多くの場で活用が期待できます。
わたしたちは様々な場面での活用に向け、これをプロトタイプとし、
更にデザインとして洗練させ、コスト面でも手に取りやすい金額のものをつくっていきたいと考えています。
ぜひご覧ください。
====
■ youtube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=RAO77sYeGuU&t=1s
■A.Q トイレ詳細
https://www.pdt-g.co.jp/vision/pickup/details.html?itemid=418&dispmid=713
]]>
APDCとはAsia Pacific Design Centerアジアパシフィックデザインセンターのことで、中国を拠点に世界各地の建築やインテリアデザインの協議会と連携して活動しています。
この賞はアジアの建築やデザインが対象ですが、審査員は全世界の著名な方々で、OYAKI FARMはヨーロッパのBLTデザイン賞の方が推薦していただいたとのことです。
ぜひ、海外の方の感想や批評を聞いてみたいです。
海外の中規模木造建築は機械でつくることがほとんどではないかと思います。
写真だけでは海外の方にはわからないかもしれませんが、OYAKI FARMの約50mx50mの屋根とホールの木組みは、日本の大工技術の手仕事でつくられていることを伝えられれば、うれしいです。
■ 日本と海外の建築・デザインの連携と発信を
当事務所にも海外の建築のウェブサイトで紹介したいというオファーをよくいただきます。
昨年はトルコの建築大学の授業としてZOOMでお話させていただいたこともありました。
インターネットで世界が狭くなっている現在、海外と連携して活動することはしやすくなっていることと思います。
今後一層、海外の方々と交流しながら作品の発信や交流、実際の建築づくりを実現できればと
楽しみにしています。
======
関連する賞や団体の詳細はこちらをご覧ください。
"Asia Pacific Design Center" (APDC),
BLT Built Design Awards
IFI – the International Federation of Interior Architects / Designers (IFI)
WDO World Design Organization
]]>
■ TOILETOWAにおける水と空気による生態系の循環を現した図です。
雨水と汚水を微生物の複合発酵で再生した再生水と大地に水と空気を通す「大地の再生」により、
「建築」から「森の再生」までつながることを目指しています。
これはTOILETOWAに限らない、私たちが目指す建築を起点とする生態系再生のコンセプト図です。
森の植生は本来は広葉樹の「その土地本来の木」による多様な植生が望ましいのですが
少しづつ、森を本来の植生の森に戻して行くことも含め、「森の再生」を目指したいと思います。
写真は敷地の鳥瞰と全景です。
Photos by takeshi noguchi
]]>
「ワタシのミライ」のシンポジウムに参加してきました。
今年2024年は国の政策「エネルギー基本計画」が改定される予定になっている年ということで、
「今年動かないと取り返しがつかなくなる。」
という思いで各団体のみなさんが力を合わせ、国に働きかけようとしています。
どのような方々が実際どのような議論をされ、活動しているか知りたかったというのが私が実際に会場参加した理由でした。
若い方ばかりで浮くかもしれない・・・と不安もありましたが、各年代様々な方が参加されており、特に若い高校生や大学生のみなさんのスピーチに心が動かされました。
youtubeでそのときの様子をご覧になることができますので、
ご興味のある方はぜひどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=tm8stdQy52g
ワタシのミライのウェブサイトはこちらです。
====
一人ひとり、自分事として気候変動に対しでできることをやっていきましょう。
]]>
■ TOILETOWAの複合発酵タンクです。
扉を外し、タンクの様子を説明できるようにしています。
今回のトイレは大便器3つ(女子2,男子1)で1日の最大の使用頻度を考慮して
このタンクの数にしています。
トイレ棟とタンク棟をつなぐ地中に最初の汚物をいれる第一貯留層があり
そこからこのタンク棟にポンプで送り順次2つずつある発酵種理層、処理層、貯水槽を経て
再生水がトイレと菜園の散水に使われる仕組みです。
複合発酵は高嶋開発工学の高嶋康豪先生が研究開発されたもので、長い歴史があり日本各地でもすでに20年以上の実績があります。
嫌気性菌類と好気性菌類を共存させる複合発酵は理論的には現代科学では解明できない部分もあるようですが、論より証拠でその効果は各地で成果が出ています。
ただし、これまではその浄化の過程とタンクを美しく見せる場がなかったということもあり、今回それを多くの方にも知っていただこうと「見た目にも美しい建築」を目指してこのタンク棟を設計しました。
■複合発酵 バイオトイレの今後に向けて
ただし、これで複合発酵バイオトイレのシステムが最終形というわけではありません。
現在は電気と上水を使っていますが、今後は、ばっ気で使用する電気を太陽光発電にしたり、蒸散防止のための加水の水を雨水を利用したりして、最終的にはオフグリッドでも複合発酵ができることを目標にしています。
現在のTOIRLETOWAも今後オフグリッド化ができるよう検討していこうと思います。
また今使っている既製品のタンクをバイオプラスチックにすることや、現在各地でおきている震災の対応も
できるような移動式の複合発酵トイレを検討しています。
■建築から大地と森の再生へ
再生土のトイレ棟とこのタンク棟、そしてタンク棟の円環につながるレイズドベッド(かさあげ菜園)
がここの建築部分ですが、それだけでは建築に再生技術を使った設備を組み込んだということで終わりになってしまいます。
今回は更に建築と大地と森をつなぐ「大地再生」も行い、建築が森の再生につながる試みを行っています。
引き続き、今回WAKUWORKSさんにお願いした「大地再生」の取り組みもご紹介させていただきます。
]]>
■複合発酵バイオトイレ TOILETOWA
当事務所ではオフグリッドや循環の暮らしを目指す第一歩として昨年、
複合発酵の原理を使った微生物による水循環システムのバイオトイレ TOILETOWAを
循環をデザインするトップランナーである石坂産業様の拠点である埼玉につくらせていただきました。
一般公開に向け現在準備中です。
トイレで使った水を微生物の力で浄化して循環させて利用するのがまず第一ですが、
それだけでなく、その水を栄養分のある再生水として周囲の木や菜園、農園に散布すると
化学肥料なしでも大きく成長し、周囲の土壌回復や森の再生にも効果があるというシステムです。
そしてそれは単なるトイレではなく、これからの時代の
「杜をめざす循環する世界」を表現し、その入口となる施設
と私たちは考えており
水の循環はもちろん壁の土や造作の木の板、ガラスそして便器と手洗いも再生材でつくられています。
昨年12月末にその発表会を東京の九段ハウスで行わせていただきましたが
満員御礼で、皆様の関心の高さを感じました。
■ TOILETOWA とは?
その中でTOILETOWAの命名者であるグラフィックデザイナーの佐藤卓さんと石坂典子社長の対談もあり
とても興味深かったのですが、佐藤さんとして
TOILETOWAの名前には
トイレとは?
トイレ 永遠(永遠の循環)
トイレと 輪 (円と循環)
などの思いがあるそうです。
初めてお会いした佐藤さんは大御所でもありながら、
謙虚で優しい表情が印象的でした。
そしてこの建物に対し、「輪郭が曖昧で周囲に溶け込んでいてとても良い。」
とおっしゃっていただき、とてもうれしく思いました。
詳しい紹介に先立って、建築写真家 野口毅さんによる素晴らしい写真を
いくつかご紹介させていただきます。
内容の詳細はまとめ次第、改めてご紹介させていただきます。
石坂産業様によるプレスリリースはこちらを御覧ください。
https://ishizaka-group.co.jp/news/article/3a0d-41nuvg/
以上、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
=======================
All photos by takeshi noguchi
]]>
■完成は来季になりますが、建築工事があらかた終了したので途中報告になります。
手のかかる工事を手掛けていただいた生坂村在住大工 斉藤裕二さんに心から感謝申し上げます。
工場で加工し、移設可能なよう2t車で運べる大きさ1.6mx1.6m以内でつくりました。
自分がこれまで手掛けた最も小さな建築です。
通常それだとできるだけ広くと1.6mの正方形や円形にするわけですが、今回更に寸法を絞り、トイレの便座部分と手洗い部分を分け極限的に細い縦長のプロポーションにしました。
顔感もトイレに見えないようにしたかったので、軒も出ておらず、壁に窓はありません。
勾玉型の平面の屋根には天窓と1/50の勾配がついており、先端の木の雨樋から水が外に流れます。
■内壁の土壁は荒壁仕上げに。
土壁の枠周りの仕上げ、浄化槽や細かい設備の取り合い、外構は来年になります。
ここは現時点では水も電気もきていないオフグリッドの場所。何よりバイオトイレの機構をどうするか
来年に向け課題です。
土壁は地域の土での中塗り仕上げの予定でしたが、
この段階で村の担当の方にみていただくとこの荒壁の割れの様子が新鮮で、「これを仕上げにしましょう。」とのことで、土の生きた肌の感じで仕上げにする予定です。
荒壁の表情は改めてご紹介させていただきます。
]]>
●今年タニタハウジングウエア主催 屋根のある建築作品コンテスト2023でOYAKI FARMが 審査員特別賞をいただきました。
12/9の表彰式には残念ながら体調不良で出ることができませんでしたが、昨日タニタのスタッフ関さんが軽井沢の事務所を訪れてくださり、直接盾をいただくことができました。
雨樋や屋根を扱っているメーカーさんらしく、盾の字の部分は板金折り曲げでデザインされています。
使われている写真もアクリルにプリントされたもので、とても凝ったデザインになっています。
タニタの皆様、審査員、スタッフの皆様、そして何より屋根と樋を施工していただいた二見屋さんに心から感謝申し上げます。
施工時の図面も見せていただきました。屋根屋さんとタニタさんで設計者が見えないところで施工図のやり取りがあったこと、職人さんの世界ではこうやってできていくのか・・・ということをかいま見ることができました。
屋根を施工して頂いた二見屋さんは東京駅の施工も手がけられた一流の職人さん方たち。
今回私の方からは基本事項を決めたあとは現場の納まりはおまかせし、完璧な施工をしていただきました。
とくに雨の時、入口の両側から雨が約6m下の雨落としの砕石に向かって滝のように流れる様は圧巻です。
雨の時ぜひご覧いただければ幸いです。
]]>
● OYAKI FARM が中部建築賞2023を受賞しました。
2000M2以下の一般部門B入選とのことで、先日名古屋での授賞式に参加させていただきました。
中部建築賞は中部建築賞協議会が主催で、中部地区の優秀な建築を表彰する賞で今年で55回目となる長い歴史のある賞です。
この賞が貴重なのは、設計者のみならず施主様、施工者を含めた3者を表彰していただけることです。
とくに施主様の建築への理解に対し敬意を表しており、授賞式でも施主様(私達の場合は 有限会社 いろは堂様)が代表で賞状を受け取られました。
設計者、施工者には賞状とともに写真にあるような盾を、施主様は銘板をいただきました。
近くOYAKI FARMのどちらかで皆様にも銘板を御覧いただけることを願っています。
お楽しみに。
今回の現地審査は2名の審査員の先生が来られましたが、意見が異なり審査会では様々な議論があったようです。
建築の評価は時代とともに変わると思いますが、このOHAKI FARMも含め自分は
「時代とともに生きてゆく建築」をつくることができればと思っています。
]]>
● 施工終盤の土の内観 下塗りである荒壁(AREAKABE)の状態の壁と天井、
トップライトからの光の様子です。
夕暮れ時の青い光が天から注いでいます。
]]>
●昨日発表された第170回芥川賞候補作に九段理江さん著、女性建築家主人公の小説「東京都同情塔」がノミネートされました。
以下、AMAZONにおける出版社による内容紹介です。
===
日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」
ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながらパワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と、実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。
===
「新潮」2023年12月号に掲載され話題を読んでいるこの作品、私は朝日新聞の記事を読んで購入。まだ読みかけでまだ全体を把握しきれてはいないのですが、興味を持って断片的に読み進めています。
一番の興味はザハ・ハディド設計の国立競技場が完成した東京
・・・・東京にはあのような「圧倒的に美しい建築」が必要ではないか?
ザハの作品は景観破壊、予算超過などの理由で建設中止になりましたが、
もし仮にそのような点がクリアできていたとして、「あの作品が東京にできていたら・・・」という思いがある方もいるのではと思います。
もちろん景観や環境破壊ということがない前提なので国立競技場としては
無理があったとは思いますが、
文中を引用すると
「ザハ・ハディドの新国立競技場は必ず建つ。実現する。でもそれは決して負のレガシーのようなものにはなり得ない。なぜならば圧倒的に美しいから。そしてザハ案が選ばれたのは、東京に不足する美しさを彼女のスタジアムだけが備えていたからに違いない。」
「東京都同情塔」 (九段理江)
これに共通する思いを持つ方も多いのではないでしょうか?
・・・・自分としては「東京に不足する美しさ」を満たす「圧倒的に美しい建築」を見てみたいと思います。
また作品中で主人公の建築家 サラ・マキナが持つ「ドローイングと建築に対する見解」は
表現は過激ながら、建築の設計者をうなずかせるものがあります。
以上、これ以外にも物語はAIも交え一筋縄ではいかない展開ですが
ご興味ある方はぜひ読んでみてください。
単行本は芥川賞発表日2024年1月17日発売とのことです。
]]>
●当事務所設計のOYAKI FARMが来年の建築BIM/CAD Vectorworks Arhitectの
シグネチャプロジェクトに選ばれました。
日本の作品で選ばれるのは初とのことです。
来年から日本発売元A&Aさんのウエブサイトで
Vectorworksを使った設計の例としてご覧いただくことができます。
それに伴い12/15に品川で行われるVectorworks Live 2023 に登壇し、設計のコンセプトやプロセスを
お話させていただきます。その日のメインはVectorworks2024の機能の日本初披露です。
Facebook Live, You TubeLive でも同時配信とのことですので
ご興味あります方はぜひご覧いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願申し上げます。
======
Vectorworks Live 2023
日時 2023.12/15(金)12:30~
・会場 品川グランドホール
申し込み 無料
https://www.aanda.co.jp/Event/VectorworksLive/index.html
Facebook Live, You TubeLive で同時配信(入場券不要)
]]>屋根のある建築作品コンテスト2023でOYAKI FARM BY IROHADO
が 審査員特別賞受賞 雨のみちデザイン賞を受賞しました。
12/9の授賞式にはあいにく伺うことができませんでしたが、
審査員の先生、他の受賞者の皆様も含め盛会だったことをお喜び申し上げます。
この賞を励みにたくさんの設計者や建主様が日本の屋根のある風景の美しさを大切にし、
風景や豊かになることをお祈りしています。
結果詳細はこちら ↓
]]>
●OYAKI FARMが2024年 建築BIM・CAD Vectorworks2024の設計活用事例として
様々なかたちでご紹介いただくことになりました。
日本発売元A&Aのウェブサイトでご覧いただけるようになります。
12/15に都内でVectorworks2024の発表会があり、私も事例紹介で登壇させていただきます。
新たな出会いと展開を楽しみにしています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
]]>
●Shell House/もりのいえが今年行われた 第2回JIA長野建築賞に入賞しました。
審査員は世界的建築家 伊東豊雄さんで73点の応募があり、5点が入選その中から最優秀、優秀賞の発表がありました。
Shell Houseは残念ながら上位受賞はには至りませんでしたが、その理由として伊東さんによると
「一番手がかかっている力作であり他の審査員ならこれを最優秀にする人もいると思いますが、設計者としての思いが強すぎて閉じていると感じた。」とのことでした。
私は今回この賞に出そうと思ったのは建築にとって「自然、社会、精神」3つの生態系がありその中でも
「精神」が一番根源にあるべきだということを見ていただきたかったからです。
今回それと異なる評価だったことは真摯に受け止めたいと思います。
一方、自分としてはこの建築を「閉じたもの」ではなくむしろ「自然」と「宇宙」「人」との対話を意図して「生命体」として設計し、実際この建築に来れられ方から「心を動かされた」というお言葉を頂いていることもあり私としては、今回の結果はあくまで建築観の違いとして冷静に捉えています。
人によって「土の空間」を膚や肌でどう感じるかも大きな違いだと思います。
今回いろいろなことを改めて考える、よい機会になりました。
今後、色々な意味で「前例がない」この建築を日本でもきちんと批評してくださる方が現れることを願っています。
]]>
●現在施工中の可動式バイオトイレの様子です。
今回内部の壁と天井を土で仕上げ、円形の開口から光が入るようにします。
その木摺り下地とトップライトの様子です。
トップライトはVeluxさんのFIXで、外側は四角い形状で
中から見ると丸く見えるようにしています。
]]>
● 長野県生坂村のいくさか創造の森プロジェクトで去年、今年とアースオーブンと屋根・シンク
を設計監理させていただき、そのお披露目イベントが昨日行われました。
「星空のレストラン」と銘打ち、村長さん、村の各地区の区長さん、運営やワークショップでお力を頂いている地元のプロサッカーチーム松本山雅の皆様をはじめ、50名ほどの方にお集まりいただき、にぎやかな交流の場となりました。
寒い中皆様話が尽きず、色々な方と村の原状や今後について数々のお話ができたことを設計者としてとてもうれしく思いました。
心から感謝申し上げます。
今後はここに隣接してオフグリッドの宿泊施設も計画しています。
村にはなかなかこのように各世代の方が集まり、交流する場がないとのことで今後の取組にも村の方の
様子を知る非常に良い機会になりました。
星空もとてもきれいでした。
この日の照明は電気自動車 NISSAN リーフによるものです。
今後この場がどのように発展してゆくか、自分も一緒に皆様といっしょに過程を楽しみながら
つくり上げて行きたいと思います。
電気自動車 NISSAN リーフによる照明。
]]>
●東京九段にある九段ハウスの庭にアート作品としてつくらせていただいた
Earth Libraryの3年後の様子です。
公共で不特定多数の方が来場ではないので、
経年変化の過程や崩れてゆく過程も作品として見せるというコンセプトでした。
東京の工事残土を使い、セメント入れずに消石灰と土・砂のみでつくったものです。
屋根もつけておらず、笠木として上部はモルタル掻き落としで仕上げ
竣工直後に浸透性の撥水剤を塗っただけです。
3年経過書し、汚れやカビはかなり目立つものの
壁が溶けて流れていることはありませんでした。
屋根はなくても上から水が入っていないことが大きと思います。
カビや汚れもどの段階かで洗えば取れそうですが
経年変化と朽ちてゆく様子を見せるコンセプトなので
当面ここのまま変化を見たいと思います。
]]>
●本年第36回の長野市景観賞受賞の受賞式が今週行われ、荻原健司市長から建主、設計者、施工者の各代表に賞状と盾をいただきました。
建主様、設計や施工だけでなく、SNSを通じて応援していただいた皆様全員でいただいた賞だと思っております。
皆様に心から感謝とお礼申し上げます。
設計者として景観をどう作ってゆくか永遠の課題ですが、メンテナンスをしながらこれからも風景ともに生きていく
「生命体としての建築」をめざしていきたいと思います。
]]>
●現在工場で施工中の可動式バイオトイレのTOPLIGHTとスノコ貼りの外壁です。
円形の壁なので板にスキマを開け、スノコ貼り
にしました。
いまエコハウス系の方々に浸透しつつあるこのやり方を
一度やってみたいとの思いがありました。
今回は納まりからの採用なのでスキマは最低限に5ミリ程度にしていますが
スキマが狭いのもいい感じです。
黒いシートは株式会社エコ・トランスファー・ジャパンの
超耐候性透湿防水シート ソリテックスを使ってみました。
このトイレは外から見ると木の板の塊ですが、見上げるとトップライトがついています。
置く場所が木の近くのときは落葉でガラス面がおおわれてしまうので
最終的にはフィルムを貼るかもしれませんが、下から見上げた開放感は格別です。
ただし今回はこの天窓が中から見て円形の開口にするので、どう見えるか
天井をつけるとまた雰囲気が変わると思います。
]]>
●ガルバリウム鋼板立てハゼ葺きの屋根の様子です。
軒の出は前方が1200、後方が900mmです。
垂木は中央のみRにしています。
垂木は45x90ピッチは通常は@455ですが、
今回は軒の出が1200なので細かくして@303にしています。
それに合わせタテハゼのピッチも@303と細かくなり
意匠的にもちょうどよくなった感じがします。
]]>
●現在つくっていただいている可動式バイオトイレの躯体です。
2t車で運ぶことができる大きさで設計し、プロトタイプとして第一弾をつくっています。
こちらも生坂村でアースオーブン屋根と同じ斎藤大工さんにお願いしています。
写真では人が入れるようには見えませんが、既存の簡易トイレよりは大きな寸法です。
]]>
●工事をしていたアースオーブンの屋根の板金工事が終わり、施工をお願いした
生坂村の大工 斎藤裕二さんに写真を送っていただきました。
木工事は終わっていましたが、屋根を葺いて全体が締まりました。
生坂村で伐採した村産のスギとヒノキの太鼓柱と軒の出のバランスがとてもよくできました。
中央のアールが付いた屋根が周囲の山と森になじんでいます。
斉藤さん、どうもありがとうございました。
これから水栓を取り付けて終了です。
]]>
● 版築(はんちく)といっても、やられたことがない方は突き固めた土の壁を見るだけではどうやってつくったかわからないと思いますので、今年10月10,11に版築の経験が豊富な斎藤左官の斎藤剛史さんにお願いした版築の壁をご紹介させていただきます。
土は生坂村の現場近くの粘土と砂、それに安曇野市の有明の赤砂それに固化材として消石灰
を混ぜてつくりました。セメントはいれていません。
それをいくつかの突き棒で突き固め、1層5〜7cm程度を積み重ねていきます。
土は去年振るって振り分けてあり、骨材として20ミリ程度の砂利まではいれています。
隣のアースオーブンは倒れ留めで基礎に竹を立ち上げて版築に埋込ましたが、
今回は高さも低く倒れる心配もほとんどないので、砕石の上に載せるだけにしています。
今回型枠を予めすべて斉藤さんの方で準備され、究極の2日間でつくりました。
材の乾燥の度合いと天候によって水分と石灰の量の見極めが難しいのですが、
斉藤さんの方で適宜判断して進めていただきました。
2日目にすぐ型枠を外し、補修と天端をコテで仕上げ完了です。
その手際の良さはさすが職人さんでした。
土の風合いも残しながら、いい感じで固まっています。
敷地の土をこのように使うことができれば建設残土ももっと活用できると思います。
ぜひ、これを参考に建築に取り入れてみていただければ幸いです。
]]>
● 版築土台 施工後1週間た経ちました。
まだ版築の水分は抜けていませんがすでに固くなっていました。
アースオーブン側は用具置き場に、水栓を取り付けシンク下は鉄板で目隠しをする予定です。
]]>
●今回左官の斎藤剛史さんにつくっていただいた 研ぎ出しのシンクです。
近年左官の「研ぎ出し」が再度注目されているので、自分でもやってみたいと思いお願いしました。
斉藤さんからは
「遠野さんらしく、もっと丸くしたほうがいいんじゃない?」
といわれましたが、今回は最初からスクエアなイメージだったので、角を少しRにしていただく以外は矩形にして、仕上げも色のイメージだけ伝えて細かい点はおまかせしました。
下地としては中に金属のメッシュが入っているそうです。
特筆すべきは、持ち運びができる重さにつくっていただいたことです。
工場でつくっていただいて版築の台の上に載せて終了です。
時間と予算をかければもっとピパピカに光るとのことですが、
現実的な予算と工期のなかで外部で頻繁に使うものではないことも踏まえ、極端に光らせる必要はないと考えました。
現場の土の版築でつくったこの下の台を次にご紹介します。
]]>
● 敷地の土を土台にした屋外キッチンをつくりました。
水栓と排水の接続、目隠しパネル取り付けはこれからですが、この土台は敷地の土を使い2日で積み上げたものです。
]]>●Shell House /もりのいえが本年度 第3回の 日本建築士会連合会 建築作品賞の居住・生活空間系の建物部門の 奨励賞を受賞しました。
設計の機会を頂いたお施主様、素晴らしい施工をしていただいた「魂の入った家造り」を掲げる寺島工務店様、木の調達でお世話になった長野県根羽村森林組合の皆様、素晴らしいお仕事をしていただいた現代のクラフツマンの皆様、応援して頂いた皆様・・・すべての皆様に心から感謝申し上げます。
今年の建築士10月号の講評を添付させていただきます。
今後日本建築士会連合会のウェブサイトにもアップされると思います。
Shell House /もりのいえは、竣工後5年が経ちこの賞の対象が竣工後5年以内だったということで、
最後の機会に今回この賞に応募させていただきました。
竣工直後は海外のウェブや書籍で多岐に取り上げて頂いたのに対し、日本ではほとんど取り上げていただく機会がなく、その後いくつかの賞に応募させていただきながら、実際に審査員の先生や建築関係の方にご覧いただき少しづつ理解が広まっていきました。
5年でどのように状況が変わったのかが、応募に当たっての大きな関心でした。
まず応募にあたり自分として表明しておきたかったのは
特に住宅での省エネや環境性能が必要とされる現在、
「それだけでは建築は成り立たない」
ということです。
自分は心に響く建築は「精神」「社会」「環境」という3つのエコロジーがあってはじめて成り立つと考えています。
その中で特に「精神」については更にその人の「哲学」「無意識」「身体」「自然観」に深く関わるもので、そこが一番人にとって重要だと考えます。
そして「社会」には伝統的そして現代の職人技術、材料の生産、コミュニティが含まれます。
今回それが少しでも伝わればと思いましたが、実際に現地審査をしていただき講評をいただいた菅先生のコメントに感謝します。
ただし、優秀賞に至らなかったこととしては今後この考えや仕事を
「特殊解に終わらせず、社会にどう広めてゆくか」
が問われていることへの「檄」(げき)だと前向きに考えています。
一方で、住まい手の方々からこの建築をメディアでご覧になって
お問い合わせをいただくことも多くあり、社会での住まいへの関心の深まりや広がりを実感し、
心強く感じています。
以上を踏まえ、今後 社会と世界に 土の建築を通し、これからの世界観を伝えることができれば
と考えています。
今後ともどうぞお願い申し上げます。
最後に、今回住宅部門の奨励賞を同時に受賞された他の3組の皆様がすべてU-40ということで、
若い方の今後のご活躍にも大きく期待しています。
遠野未来
]]>
●当事務所で昨年 設計監理をさせていただいたOYAKI FARM BY IROHADO がウッドデザイン賞2023を受賞しました。
お力をいただいた皆様にこころからお礼と感謝を申し上げます。
誠にありがとうございました。
ウッドデザイン賞は建築・空間、技術・建材、プロダクツ、コミュニケーション、調査・研究の5分野と生活者視点、消費者視点から見た木の良 さ・価値を表す3つの部門から構成されており、当事務所では3回目の受賞となります。
今年のウッドデザイン賞は応募総数355点と受賞作品は238点と昨年を上回る応募とのことで、日本の社会に「木」が新たなかたちで浸透している様子が伺えます。
展示やセミナーは12月6〜8日に開催 される「エコプロ2023」(東京ビッグサイト)にて実施予定ですので
皆様、足を運んで見ていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
Photo by takeshi noguchi
====
※ ウッドデザイン賞2023 詳細はこちら
]]>
●現在、長野県生坂村でアースオーブンに隣接して、可動式の究極の極小バイオトイレを計画しています。
これから施工を始めるに当たり、原寸図を打ち出してみました。
2トン車で運べる極小のトイレプロトタイプを想定していて、原寸でみても究極の小ささです。
しかも単に丸い形状ではなく、壁がくびれてそこに屋根の水が流れ周囲の樹木や菜園への水やりも想定しています。
汚水浄化システムの設置と実装は来年の予定ですが、今年まずどうこの本体が立ち上がるか
今後随時ご紹介させていただきます。
]]>
●長野県生坂村で去年つくったアースオーブンの周辺に
今年は屋根と屋外シンクをつくります。
まず生坂村で取れた木を太鼓柱にした
屋根の木組みができました。
今回は東屋にみられる方づえを入れず、全体をスッキリ見せたかったので
柱を掘立にしました。
地面の下に柱を1m埋めていますが、土に接するのではなく
柱の周囲は割栗石で固め、と上面はビリ(小砂利)で仕上げています。
]]>
●当事務所で設計させていただいたOYAKI FARM BY IROHADO が本年度の長野市景観賞をいただくことになりました。
これもひとえに皆様のご支援のおかげです。
心から御礼と感謝を申し上げます。
建築は自然や景観の一部であり、それがどれだけ景観の中に溶け込んでまちの歴史や
共有財産「コモンズ」となる風景をつくってゆくか?
建築自体が良くても景観にそぐわなものもある中で、大きな課題です。
その意味で今回長野の木と土を使ったOYAKI FARMで景観の賞をいただけたことを
心からうれしく思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
]]>
●フランス・エルメス財団 から出ている 素材の研究シリーズの中から「土」の号 日本版が出版されました。
「土」というと一般的には土壌や陶器、焼き物などを想像される方が多いと思います。
この本ではそれとともに「土の建築」についてフランス・グルノーブルにある国際的土の建築研究所クラテール元代表で建築家・研究者のティエリ・ジョフロアさんによる現在の土の建築の世界的状況と「土と左官の本」を出されてきた雑誌コンフォルトのエディトリアル・ディレクター多田君枝さんによる日本の左官の歴史と現在に渡る状況が書かれています。
■永遠にリサイクルできる究極の建材「土」
私は気象危機の時代、もしすべての輸送がストップしたりコストが高騰し手に入らなくなったとき
建築をつくる究極の素材はその場にある「土」しかないと思っています。
これから土の建築をめざす方に、上記の2つの文は日本と海外の土の建築の歴史とこれからを把握するのにとてもよいガイドになっています。
ぜひお読みいただければ幸いです。
]]>●これまでも何度かHOUZZ様で記事にしていただいていますが、今回改めてご紹介いただきました。
ご覧いただければ幸いです。
お施主様、職人さん、工務店さん、木の生産者の方々、今年亡くなられた構造をお願いした構造家の増田一眞先生・・・を始め本当にたくさんの皆様のお力でできたこの建築。
色々な意味でこれまでもこれからも
このような建築はもう二度とできないのでは・・・と感じています。
Photos: takeshi noguchi
https://www.houzz.jp/ideabooks/141261727/list
]]>
● OYAKI FARM やバイオトイレタンク棟では外壁を木で仕上げる時、木の生えていた原風景の記憶を想起させるよう板を「縦貼り」にしました。
木の板の縦貼りと横貼り、どちらが雨仕舞がよいか?
建築的にはよく議論になりますが、それぞれ一長一短あり、適材適所で決めていくしかないと思います。
● 九鬼周造「いき」の構造と縦縞(たてじま)
ところで名著「いき」の構造によると
横縞より縦縞のほうが「いき」である といえる。
とあります。
九鬼氏によるその分析が素晴らしいのですが、いくつかを抜粋でご紹介すると
・横縞よりも縦縞の方が平行線を平行線として容易に知覚させるということがあるであろう。
・縦縞にあっては二線の乖離的対立が明晰に意識され・・・
・横縞は左右に伸びて場面の幅を広く太く見せ、縦縞は上下に走って場面を細長く見せる。
・・・
・要するに横縞よりも縦縞のほうが「いき」であるのは、平行線としての二元性が一層明瞭に表れているためと軽巧精粋(けいこうせいすい)の味が一層多く出ているためであろう。
とあります。
この他に
縦縞へは重力とともに落下する小雨や「柳条」(りゅうじょう。柳の枝の意)の軽味がある
と。
====
大地の水平性を意識しながら、縦縞を考えることには深い意味や世界がありそうです。
]]>
●竣工1年の木の経年変化の様子です。
3mの軒が出ている北面は木の色がまだ残っています。
自然系保護材を塗った外壁はランダムな色の経年変化を想定していましたが、
予想通りランダムに黒ずみ、より一層木の木立のイメージに近くなりました。
軒が出ている南面は色が一層濃い茶色に変化しています。
ウッドデッキも同じ保護材を塗っているので、今後少しづつグレー色に
変化してゆくと思います。
「建築は周りの風景とともに古びてゆかねばならない。」
私の好きな言葉です。
]]>
●この夏OYAKI FARMの2階テラスSKY DECK がリニューアルし、全面ウッドデッキを貼り
より快適になりました。
中央部には山並みを臨む階段状のひな壇をつけました。
ぜひまたお立ち寄りいただければ幸いです。
]]>
●昨日、竣工写真の撮影を行いました。
そのとき撮影した夕暮れ時の動画をご紹介させていただきます。
木組みが木立の中に浮かび上がる様子です。
230830
https://www.facebook.com/eartharchitect/
]]>
●8/5に長野建築士会主催の伝統建築改修講座の一貫で防耐火建築設計の第一人者 安井昇さんのセミナーに参加しました。
安井さんには中規模木造のOYAKI FARMでも防耐火設計のコンサルティングをしていただきました。
これまで何度もセミナーでお話を伺っていますが、何度聞いても新しい発見があり、この日も安井さんの時折ジョークも交えた軽妙な語りで6時間飽きさせず、最新情報も交えた大変素晴らしいセミナーでした。
もし木造建築の設計をされている方でお聞きになったことがない方には、ぜひおすすめします。
● 木造建築の燃え方と防耐火設計
丸一日、様々な火災実験の動画を見せていただきながらお話を伺いましたが、一点強調されていたことがあり、ご紹介させていただきます。
私もイメージ的に勘違いしていたのですが、
「無垢の木で建物をつくったら毒性のあるガスは出ない。」というのは間違いです。
という点です。
火災が発生した煙には有毒な一酸化炭素(CO)が含まれ、それを吸い込むと死に至る危険性があります。
消防庁によると火災による死因の約 4 割が CO 中毒であるというデータがあるとのことです。
これは無垢の木を使っているから防げるわけではないこと。
これを肝に命じ、「火を出さない」から「火災で倒れない」まで防耐火設計を行い安全な建築設計を
徹底して行く必要があります。
以下、安井さんによる防耐火設計のポイントをご紹介させていただきます。
皆様、お一人でも多くの方の命を守ることができますことを願って、
ぜひどうぞよろしくお願いします。
====
1 火を出さない[出火防止]
2 火災を早く見つける[早期発見]
3 火を消す[初期消火]
4 火災を閉じこめる[区画化]
5 煙から守る[煙制御]
6 逃げる[避難安全]
7 消防隊に助けてもらう[消防支援]
8 災害弱者を守る[弱者対応]
9 火災で倒れない[倒壊防止] [都市火災抑制]
]]>
■日経新聞 長野版でOYAKI FARM をご紹介いただきました。
記事では、
「木材を使った印象的な円形の建物に引かれて訪れる人も多い。」
「20〜30代の若いグループ客や家族連れも取り込んでいる。」
とご紹介いただきました。
開業1年の皆様からのありがたい反応も踏まえ いま改めて設計者として「経済効果」の上で
「社会が建築をつくる」だけでなく「建築が社会をつくる」
ことの可能性を考えています。
「それがどこまで可能か?」今後自分に問いかけながら、
建築の根源に向け設計をしていきたいと思っています。
]]>
●セミが付加する瞬間を初めてみました。
夜、事務所の郵便受けに宿っていました。
恐ろしいほどの神々しさでした。
■生命体としての建築
通常はこれと建築は関係ないですむところですが、「生命体としての建築」を
テーマにする当事務所としては、まさしくイメージの原型として大きく心に刻まれる瞬間でした。
「生物が孵化し、成長し、変化する。」そのような建築ができたら・・・と思っています。
建築は単なる箱であって動かないものでしょうか?
生きていないのでしょうか?
自分はそう思いません。
学生時代から「孵化する」ものをつくりたいという思いがずっとあります。
それが当事務所の作品に反映されているのではと思います。
]]>
●全面がテラス席になっている2階のスカイデッキにウッドデッキとベンチを設置しました。
これまでは防水だけでしたが、照り返しが大きいので、その低減と
客席としてもっと広く使えるようにとの思いからリニューアルしました。
一度行かれた方もぜひまた訪れていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
]]>
●今回 「大地の再生」としてバイオトイレ周辺の土壌再生と植栽をお願いしたWAKUWORKS 様方の
お仕事をご紹介させていただきます。
建物の周囲の土の環境を変えることで、「ここまで場が変わるのか」というほど
劇的に変わり、感銘を受けました。
炎天下作業をしていただいたWAKUWORKSの和久様、佐藤様、増本様を始め
チームの皆様、こころから感謝申し上げます。
見た目以上にどのように土を再生したかが重要なので、
詳しい内容は自分でも整理して、改めてご紹介させていただきます。
]]>
■ OYAKI FARMを設計で使っているCAD Vectorworksの今年の作品集MODUS 12にご掲載いただきました。
設計施工でお力を頂いた皆様に心から感謝申し上げます。
● 気象危機時代の建築へ
VectorworksはBIM機能もあるCADですが、今年の作品集の12の作品を見ると海外の建築サイトで
よく見かける3次元曲面を多用した、かたちのアクロバットのような建築はほとんどありませんでした。
BIMの作品集にしては最初地味な印象も受けましたが、巻頭で編集のJorge Matos氏の言葉を読んで考えを改めました。
「建築の分野は世界のCO2排出量の約40%をしめている。
その削減のために建築家とクライアントはそれぞれの役割を果たし、より多くのことを行わなければならない。」
その前提で建築がかたちの遊びではなく、環境負荷低減へと向かうことに大きく賛同します。
当事務所は、その自然環境だけではなく
1 精神、 2 社会、3 自然環境
その3つの生態系を回復することをめざし、設計を行っています。
それを体現し、「生命が循環する場」 の意味で「杜」 を めざしており、
OHAKI FARMもその大きな事例です。
一方で、その見せ方、表現としてのかたちやデザイン」も非常に重要で、
社会を変えるには「美しさ」「人の心を動かすこと」の大切さををいつも考えながら設計を行っています。
]]>
●ウッドチップと浅間石、瓦再生砂利をつかったランドスケープと建築の様子です。
]]>
●建築とともにWAKUWORKS 様方にお願いしていた「大地の再生」の工事が終了しました。
木の枝、石、瓦、くん炭、ワラ、ウッドチップを使いながら地中に水脈をつくり空気を流す「大地の再生」によって建築周辺の空気が変わり、心地よい風が流れるようになりました。
本来の大地の持つ力に大きな感動と驚きがありました。
私としては建築の環境工事として「大地の再生」の皆さまと本格的にご一緒させていたのは初めてですが、
その効果に感銘を受けました。
今後、改めてご紹介させていただければと思います。
]]>
● タンク棟と対になるようにレイズドベッドという立体菜園を設けますが、その様子です。
その菜園にはトイレの排水を水やりに使い、野菜がどれだけ元気に育つか見てゆきます。
当初周囲の縦張りの板をスキマを開けず貼る予定でしたが、
土の中に空気を入れたほうがよいとのアドバイスをいただき隙間をあけて貼っています。
今回も施工をお願いした長野市の寺島工務店さんの施工精度にはいつもながらですが、
目をみはるものがあります。
このレイズドベッドのRのベンチのピタリとした加工を見てもそう感じます。
]]>
●間接照明が入ったバイオトイレ版築屋根の木組みの様子です。
]]>
●先日ご紹介したバイオトイレのトップライト木組みの最終の様子です。
透明ガラスで空が見えるのは魅力ですが、敷地は落葉樹に囲まれており,落ち葉でガラスの汚れが目立つことが予想されるので、
今回は半透明のフィルムを貼ることにしました。
屋根の木組みが表しになっているのですが,トップライトに合わせ木組み(垂木)の割付を変えることはせずにその上にトップライトが載るようにしています。
● 現在施工中のバイオトイレの隣につくられた半円形のタンク棟です。
約1.2mの高さの目隠パネルは取り外し、中のタンクで汚水を浄化するシステムを見ることができます。
目透し貼りの杉板から光が入り風が流れます。
使った杉板は地域材の埼玉の西川材です。
杉板の幅は75,90,105と3種類で、それをランダムに貼りこの場所のある武蔵野の木立をイメージしています。
]]>●現在工事中のバイオトイレの内部 再生土を使った版築壁です。
この再生土はハウスメーカーの住宅が廃棄されるときに出る石膏ボードなどの粉と
その建物の現場の土の混合物を精製して再生させた材料です。
ここではそれに消石灰を混ぜ、突固めて版築壁をつくっています。
]]>
●朝日新聞 長野県版での本日7/3の長野の伝統食おやきの記事を
ご紹介させていただきます。
長野での最王手ということで、OYAKI FARMのクライアントであるいろは堂様とその長野市鬼無里(きなさ)にある本社がご紹介されています。
■おやき とは?
「おやき」と聞いても長野以外の方はピンとこないかもしれません。
私も最初はそうでした。
「おやき」は野菜やあんなどの具材を小麦粉を主にした皮材で包んだ長野の郷土食。
肉と魚を使わないヴィーガン食でもあります。
その中でもいろは堂様のおやきは独特の製法とレシピで現代的な味と食感で、県外や海外の方にも人気です。
さらに、新工場と店舗のOYAKI FARMでは季節の野菜やフルーツ、スイーツなど様々な新メニューやおやきづくり体験、地域の小学生の見学など社会への発信にも取り組んでおり、
革新をしながら「伝統」を次世代に生かす取り組みは、どのジャンルからみても
参考と刺激になります。
まずはとにかく「新しいこと」「面白そうなこと」に挑戦する精神。
ぜひ自らもそうありたいと思っています。
]]>
●先日ご紹介した玄関ドア上の庇に間接照明を付けたときの様子です。
昼でも空間に陰影が出ます。
]]>