2008.11.30 Sunday
土壁の断熱性
知人によるとこのblogの「エコカッコイイ建築」という言葉に反応してくださった方もいらした様子。少しでも刺激になれば幸いである。
実際最近の世界経済の中、特にアジアの国などは「デザインが良くないと売れない」とデザインを売りにする流れが大きくなっている。建築・ファッション・電化商品・家具・・・など日本を含めたアジアの若手デザイナーの活躍は目覚しい。
デザインが良くなければ長く使ってもらえない・・・自分もデザインをする側として少しでも使い手に愛着を持っていただけるものを作りたいと思う。
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さて、前回の続きである土壁の断熱についてであるが、再度いろいろな文献を読んだりして考えをまとめているところ。
まず基本事項として土壁の断熱性について
土壁の熱伝導率は0.62〜0.69 (W/m・k)でグラスウール10Kの0.05と比較して断熱性能は10倍以下。
(世界的には不十分なものの)現在の日本での断熱基準となる次世代省エネ基準での東京での値はグラスウール10Kが100mm(10cm). これと同じ断熱効果を土壁でとるとすると熱伝導率0.69で計算すると0.69/0.05x100mm=1380mm
つまり1.38Mもの壁が必要となる。
(熱伝導率・・・熱伝導率とは物質内の熱移動のおこりやすさを表す係数。
熱伝導率が低いほど断熱性能が高い。)
つまり、断熱だけ見ると残念ながら土壁は断熱材とはいえない。
では、なぜ土壁の家は「夏涼しく、冬暖かい」といわれるかというと土壁は熱容量が大きいからである。
土の熱容量は約1600KJ/㎥℃であるのに対し、断熱材は20程度でしかなく、その差が約80倍。 たとえば「暖房を切ってから明け方までどの程度室温が低下するか」、で部屋の暖かさを判断する場合は土壁の蓄熱性が大きな効果を果たす。
これらの点を加味して現代の家にあう土壁の作り方を、全国各地でいろんな設計者の方が試されている。
以下、続く・・・
写真:森風エコキャビンの土壁
土壁の断熱強化のため、土壁の外側に藁と泥を混ぜた泥団子を積んだ
Posted by 遠野未来 at 14:56 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)