●8/28.29 協同組合 「杢人の会」主催の 木造設計塾2010に参加してきました。
テキスト 表紙
講義する山辺先生 話し出すと止まらないほど・・・熱い!
協同組合 「杢人の会」は建築家 丹呉明恭さんと構造家 山辺豊彦さんが主催する建築木造の研究会「大工塾」を母体にした大工さんの会。
「大工塾」はその前身から数えると17年以上活動を続けており、木造建築を実物実験データをとりながら、大工さんと精力的な活動を展開し、現代日本における木造建築復興の一翼を担っている。今回、大工さんという作り手だけでなく、設計者も勉強できる機会をとこの「木造設計塾」が立ち上げられた。
一般的に木造の設計は構造的にさまざまな要素が絡み、難しいといわれる。自分もやればやるほど知りたいことが出てきて、もっと勉強しなければ・・・と常日頃思っており、今回は「今絶対参加しなければ・・・」と参加した。 丹呉さんと山辺さんから、直接話を聞けるとあり、とても面白く勉強になった。二人のそのエネルギーとやってきたことのすごさに圧倒され、いまだに興奮している感じである。
その大工塾から生まれたのが、「渡りあご構法」。
木造伝統構法を出発点として、特に木の梁を十字に組む「渡りあご」の考え方を手がかりに 建物全ての梁を「梁通し」で組み、アンカーボルト以外は構造的に金物を一切使わない。木造の場合慣例として角の柱は通し柱にすることが多いが、この構法は角も管柱で、梁をのせることが特徴。そして壁は貫と土壁が基本。・・・という魅力的なつくりかたである。この会では、壁を100体以上つくって強度実験したり、研究棟を建てて、破損実験をしてみたり、全て木造の強度を数値のデータを取って解析しているところが素晴らしい。
会がスタートした当初は、木造は大工さんの経験と勘でつくるもので、解析できないと思われていたが、大工塾で山辺先生による計算が強度試験とほぼ同じ結果が出たのを目の当たりにして、大工さんはみな驚いたという。そこから、現代の構造計算を視野に入れた木造が始まったのであろう・・・それがわずか15年くらい前である。
この過程を聞いて・・・強く思うのは、 日本の木造建築とそれを耐力的に補完する土壁は、無限の可能性を秘めている こと。
この渡りあご構法の根底のひとつに 建設から解体までゴミを出さない。
という一項目がある。それがもはや自然素材を扱う人間の大前提である。・・・