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■土の建築とアンチフラジャイルという言葉

●12月の土壁セミナー「土という素材の多様な表現法」にたくさんの方にお越しいただき誠にありがとうございました。活発な議論が出来たことを心から感謝申し上げます。

 セミナーでは私が取り組んだ色々な構法で土の建物の事例をご紹介させていただいたのですが、ちょうどイタリアの建築雜誌カザベラの最新号が「アンチフラジャイル」というタイトルで発展途上国で欧米の若い建築家が近年取り組んだ「土を使った建築」の特集がされており、興味深いのでご紹介させていただきます。
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「アンチフラジャイル」という言葉は、いま注目の批評家のナシーム・タレブ氏の造語。

 自分なりに理解すると「あるストレスを受けた状況の中で、それを逆に生かしてできた物事」ということ。建築でいうと被災・戦場・貧困・・・などで建築資材として「そこにあるもの」でしかつくることが出来ないなかで、現地の人と共につくる・・・という状況です。
 
 しかし、単に「地元の素材と人」とつくるというだけでなく、それを生かし「そこでしか出来ない建築家の表現」としてそれを見る・・・ということがこの記事の新鮮な切り口だと思います。


 この特集の事例は一見すると土の建築に見えない美しい建物が並んでいるのですが、そのつくりかたが刺激的。


 土のうと鉄板。日干しコンクリートと鉄管。過酷な土地と竹管。・・・



 言葉だけだとどんなバラックか・・・と思うかもしれませんが、出来た建物がどれも現代的で洗練されています。
 
 それは日本の「木造竹小舞」の土壁と全く違った土の家のつくりかたがあることを教えてくれます。

 そこで基本となるのが「土」。それもその場所の「土」。
つまり、究極の建築といえる「建物を建てるとき掘った土を使って土のうや土ブロックで壁をつくる」方法。

 これまで自分は「土のう」の壁は円形でないと構造的に成り立たないと思っていましたが、それを矩形で立ち上げた例もあり、木と併用すれば日本でもできるかもしれない・・・とも思いました。

 ご興味ある方は雜誌の日本版がでていますので、ぜひご覧ください。

 海外のこれらの事例も参考に今後ぜひ土の建築を皆様と考え、社会に役立てることができるよう活動して行くことができれば、と改めて感じました。

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 土のう建築の例 ガザの児童施設 ↓ (現在は戦禍で破壊され現存せず)

 カザベラジャパン



 写真:当初アースバッグで壁をつくる構想があった石巻・雄勝 モリウミアス露天風呂の壁。最終的には木造・木摺で壁をつくりましたが、木造と組み合わせればアースバッグでもできるかもしれません・・・。
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PS タレブ氏「アンチフラジャイル」は
近く邦訳が出る予定だそうです。

Posted by 遠野未来 at 09:44 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

■Edible Design 講座 2015そして来年へ向けて
 ● 今年「まちなかで土壁の家をつくる会」と共に関わらせて頂き、各コースで「土の建築」のお話をさせていただいた講座が東京・千駄ヶ谷で行われているEdible Design です。

https://www.facebook.com/groups/491286527690321/


 Edibleとはあまり聞きなれない言葉かもしれません。


・・・「食べられる」という意味でエディブル・ランドスケープ「食べられる景観づくり」・・・として「食と植物」から環境を考える考え方。パーマカルチャーを学ばれ、それを「都会の中で」で実践されている松澤伸樹さんが改めて今回の講座のタイトルに付けらた名前です。


 10年ほど前にも講座が行われていましたが、今回講座を再開するにあたり「今こそ都心でこれを行わなければ・・・」という思いが松澤さんにあったということです。

 はじめて見ると「このメンバーで何もできなければ、東京には可能性がないということ・・・」というほど意識の高い方々が毎回集まり、濃い議論とともにデザインと実習がスタートし、成果が出はじめています。


 来年も引き続き行い、私もその中で「土の建築」のちからについてお話させていただきます。ご興味ある方はサイトをご覧いただき、ぜひご参加ください。

 東京から一緒に「食べられる」景観を発信地ていければうれしいです。

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 写真:10年ほど前に旧千代田区役所屋上につくったパーマカルチャーのスパイラル・ガーデンとコンパニオンプランツの考え方を応用してつくった2重らせんの屋上緑化園。

様々な植物が元気よく育った実例。

 ちなみに、この時のらせんの素材は鉄の波板に沖縄の「土」を塗って仕上げたもの。



 


Posted by 遠野未来 at 07:24 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

■みらいのいえ 竣工5年の経年変化
●三浦市のみらいのいえ 竣工5年の経年変化の様子です。
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 木の色の変化の様子をご覧いただければと思います。

 雨上がりの玄関まわりがぬれている時の様子で、生活と住まいが一体となった感じが伺われます。
 外壁の角が丸いのがポイントです。 

Posted by 遠野未来 at 14:49 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

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