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■2/27 高橋昌巳さん土壁セミナー 盛況に終了しました。

・今回の会場は建築家 高橋昌巳さんの事務所に隣接する長屋門の土壁の部屋。

 室温15℃ 湿度40% という状態が体感として寒くない・・・ということを実感しながらのセミナー。

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 内容は、

・2020年の国の省エネ基準義務化の中での土壁の温熱性能

・東京と日本全国の真壁の町並み


について。

 土壁は、断熱性の面でそれだけでは国の省エネ基準を満たすことはできないものの、実際の住まい手のデータを集めると1次エネルギーの消費量は国の基準より少ない事が多い。 住まい手不在で数値だけで国が義務化するのは疑問だ。・・・

 また例外規定とされている地域性といったとき東京の町並みに地域性があるのか? 誰が判断するのか・・・


・・・土壁の家づくりを30年続けてきた高橋さんは、最終的に

「真壁の家が雨にぬれても乾くので一番長持ちする。それを風景として町並みのなかに残したい・・・。」という思いに至ったといいます。


 自らの豊富な写真事例とデータをもとに話された内容は、非常に説得力がありました。


セミナー後も様々な議論が続き、非常に有意義な会でした。


 去年から続いた土壁セミナーも次回の建築家 伊藤 寛さんの回で一区切りです。

是非皆様お越しください。

Posted by 遠野未来 at 13:23 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

■2016 3月開始 EdibleDesign10の募集を始めます!
●植物・建築・環境の活動をされている方に大好評の講座。 私も4/12に [土の力とパッシブデザイン] でお話させていただきます。 今季はあと1名とのこと。 ぜひどうそ!

 ======= 
 「 ファーベルの樹冠 」 エディブルデザイン講座 実習コース全12回受講生募集 
   
    「自然の仕組みの中でくらす」 植物を中心に重層的なスペースを作り出し、そこから得られるめぐみを余すところなく活用する、エディブルデザイン 育てるだけでなく、自然に自生する植物や、雨、風、土などの利用法、小さなきっかけでも息を吹き返す、自然の持つ力の仕組みを理解し、その回復を加速させるデザインなども学ぶことができます。 今回の実習コースでは、参加者から提供していただく住居や仕事場を後半の実習地とし、実際に自然の仕組みつくる実践的なプログラムとなっています。 

●講座予定(順番や内容が変わる場合有) 

 第 1回 3月8日(火)14時から  「オリエンテーション」 「野生のエディブル」 ・その辺の雑草を食べてみる ・植物のフル活用 Sasha   

 第 2回 4月12日(火)14時から  「実例紹介」 ファーベルの樹冠、修道院他 「土の力とパッシブデザイン」 遠野 未来 

 第 3回 5月10日(火) 14時から   「遷移」空き地が森になるまでのプロセス 「エッジ」海と山と空、際をみる  

 第 4回 6月14日(火) 14時から   「ゾ−ニング」立体的な時間と場所の配置 「やぼろじと檜原村」 和久 倫也

 第 5回 7月12日(火) 14時から   「自然のパターン」エネルギーの流れが全ての形を作っている 「循環」入り口と出口 

 第 6回 8月09日(火) 14時から   「ギルド」 一皿のジャングル  小さな自然の仕組みを作る  

 第 7回 9月13日(火)   クライアントインタビューとロケハン 実習地エディブルデザイン    

第 8回 10月11日(火) 実習地エディブルデザイン 

 第 9回 11月08日(火)   

第10回12月13日(火)  

 第11回 1月10日(火)   

第12回 2月14日(火)   自然の仕組みをつくる現地実習  

 ●会期と時間、開催場所  2016年3月〜 2016年10月 毎月第2火曜日 午後2時  ナノバクテリウム コンサバトリー 2016年11月〜 2017年2月 毎月第2火曜日  現地集合となり、時間は実習現場の状況に対応 

●受講料  全12回 ¥65,000 ●講師  松澤 伸樹 エディブルデザイン主催 ナノバクテリウム代表)
 遠野 未来 「土の力とパッシブデザイン」 建築家 
和久 倫也 「やぼろじと檜原村」 建築家 内容変更有 
Sasha   エディブルエッセンス代表  

●備考 プリントテキストを使わず、フェイスブック専用グループを開設し、そちらに資料を投稿しながら、講座を進めていきます。 後半の実習地は、参加者の中から応募がない場合、主催者側で用意します。

 ●講座開場 講座の場所となるナノバクテリウムはパッションフルーツを使ったパッシブソーラーシステムが天然のエアコンと加湿器の機能を果しています。 また、パッションフルーツの葉は鎮静効果のあるハーブティーになり、果実はとても美味しく、皮から抽出したエッセンスは様々なスキンケアのもとにもなります。 一本のパッションフルーツの木が空間環境を24時間無電源でコントロールし、植物のメンテナンスは収穫になっているのです。そして、害虫もきません。 また、ナノバクテリウムは、一つの空間で同じモノを使い6種類の業態をこなしている多機能で心地よい場所でもあります。

http://nanobacterium.jp/ 受講希望の方は、松澤 伸樹までメッセンジャーでお申し込みください。 質問なども気軽にメッセンジャーしてください。


EdibleDesign Group Site https://www.facebook.com/groups/491286527690321/?fref=ts

Posted by 遠野未来 at 20:36 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

■ 土壁の家の冬の温熱データ みらいのいえ2014年冬
● 前橋工大 三田村研究室で2014〜15年の1年間計測していただいた温熱データの冬についてご紹介します。
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■平面・断面計画

 当事務所設計のこのお住いは冬の太陽光を中に入れ、土壁に蓄熱させるという平面・断面計画になっています。 

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 広間(この家ではダイニングと称す)の後ろ側に曲線を描く土壁と版築壁があり、玄関部分はカフェにもなる土間と土壁の空間になっています。
ただし広間全体の壁は土壁ではなく、石膏ボード大壁下地に漆喰仕上げです。断熱材はPET再生断熱材パーフェクトバリアt100、外壁は通気層をとった現場の土入り左官仕上げです。冬は薪ストーブで暖房されています。

冬の写真をご紹介します。

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P1170439.jpg 広間の土壁に上部のガラス窓から冬の低い角度の日差しの太陽光が当たっているのがわかると思いますが、その効果はいかがでしょう?くつろぐお二人はこのお住まいの主 荒井様ご夫妻です。

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■ 冬の室内温度

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1)ほとんど15°C以下にならない。

 まず温度を見ると、真冬でもほとんど15°C以下にはなっていません。

 まず前提としてこの住宅は全面ペアガラスの木製サッシュを全面に使っていることが重要なポイントです。
現在出ている複合サッシュほどではありませんが、最低限の気密性の確保が土壁の蓄熱・調湿効果を発揮する大前提になります。

 その上で土壁の効果がどのようなものか見てみましょう。

 薪ストーブを使用している広間はもちろんのこと、そこに隣接する土間と土壁のホワイエも15°C以下にはなっていません。無暖房のホワイエは室温15〜18°を推移し、温かくはないものの温熱的に安定しています。ここは東南部分がガラスになっており土間への日光の蓄熱が考えられます。


2 土壁の表面温度と空気温度

  広間の空気温度と土壁の表面温度を薪ストーブの右側の棚ほぼ同じ場所で計りましたが、場所が近いこともありほぼ同じでした。急激に空気温度が上がっているのは、日射と薪ストーブの両方の要因が考えられます。

 薪ストーブ後ろの版築壁のほうが土壁より温度が低いのは、薪ストーブの後ろに遮熱板を設けたため、熱が後ろに行っていないためと思われます。遮熱板を取る、付けないなど今後計画するときは気をつけたいと思います。

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3 土壁の蓄熱効果・・・夜間の放熱効果

 注目の外気との差ですが、グラフの山・・・温度のピークが半日(6〜10時間ほど)ずれている事がわかります。土壁が太陽と薪ストーブの昼の熱を蓄熱して夜間放熱している様子が見て取れます。


■ 冬の室内湿度

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 次に湿度ですが、薪ストーブを焚いている広間より、そこに隣接する土間と土壁のホワイエのほうが湿度が高く、おおむね45〜60%と良好な状態であることがわかりました。土間の蓄熱性と土壁の調湿性。両方の効果だと思われます。

「薪ストーブを焚くと空気が乾燥する」とよくいわれますが、それを実証しています。

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 カフェにもなる土壁土間の様子。
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 以上、冬の温熱環境をご紹介しました。

 このお住まいは伝統的構法の竹小舞土壁の家と異なり外壁全面が土壁というわけではありませんが、たとえ全面でなくてもその土地の条件、建物の平面・断面を検討しを定め、効果的に活用すれば蓄熱・調湿に優れる土壁の有効性を発揮できるということがわかる事例だと思います。

 私としても今後は薪ストーブやオンドル・ペチカ・ロケットストーブなどと組み合わせた土の暖房利用をもっと試していきたいと思っています。

 またこのお住まいは屋根が草屋根でその効果の測定もしていますので、今後夏の様子と草屋根の効果を改めてご紹介させていただきます。
 

Posted by 遠野未来 at 21:11 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

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