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左官について
左官

 「左官」とは日本建築で壁や土塀、土壁、漆喰などを塗って仕上げる職人のこと。
日本建築は古来、土壁と左官なしでは成り立たなかった。しかし、近代化の波で、乾くのに時間がかかる、仕上がり具合が読めない、現場が汚れる、コストがかかる・・・などの理由で敬遠されるようになり、職人の数も減った。しかし、エコロジーやシックハウス対策・・・などによる近年の自然素材の再評価と共に見直されている。色も仕上も自由でつくっている過程も楽しい。これはやってみた人にしかわからない。

 そんな矢先、去年の秋に40年にわたった左官専門誌「左官教室」が休刊となり、読者を驚かせた。経営自体が厳しかったことは想像に難くない。私の作品も何度も取り上げていただき、非常に感謝している。
 
 ビルの中の土壁の家であった私の自宅「神田SU」はいくつかの賞もいただき、TVにも出させていただいたが、編集長だった小林澄夫さんが気に入ってくださり、「左官教室」で取り上げていただいたことが、実は一番嬉しかった。左官を本格的にやられている方が見れば、「神田SU」のように鉄筋と土壁を組み合わせた空間など「邪道だ」と思われるのではと思っていたからで、「自由につくっていいんだ。」とほっとしたのを覚えている。

 さて、その「左官教室」の休刊以後の動きとして、昨年秋に左官職人の方々が中心となりウエブサイト「左官的塾」が立ち上げられ、そしてこの春小林さんを編集長に迎えた新雑誌「さかん」が4月に創刊される。どちらも左官再評価の流れを断ち切ってはいけないという使命感で作られたものだ。

 ウェブサイト「左官的塾」には私のページをいただいているのでご興味ある方はご参照いただければありがたいが、今度は「さかん」にスタートの言葉を寄せることになっている。

 心と身体に優しく、呼吸し、生きている壁・・・「左官」の良さを皆さんに知っていただくよう、今後も実例を作ってアピールしていきたい。

 写真は左官教室の表紙になった「珪藻土のたまご」(2006.2月号)

Posted by 遠野未来 at 00:05 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

木造伝統工法
木造の剛性


 今日は日本建築学会主宰の「木質構造の設計」セミナーにいってきた。

 建築基準法は近年毎年のように改正されているが、設計者もデザインはもちろん制度の面でも常に新しい動きに敏感でないと生き残っていけない。特に耐震偽装以来 建築家や構造設計者のモラルやあり方が問われることになり、ご承知の通り昨年大きく確認申請の手続きが変った。なかなか確認申請が下りず、構造不況といわれるほどである。設計事務所をたたんだ方も多いと聞く。
 
 現在木造の工法は7種類とかなりバリエーションがふえており、法規を満たせば4階以上や大規模建築も可能である。その中でも「木造在来工法」と「伝統工法」の項目がやはり一番興味深く、特に木造伝統工法の実験による構造的解析が、かなり充実してきているのが嬉しかった。

 今一般的につくられている柱・梁・筋交・金物による木造住宅は「在来工法」といわれここ数十年の歴史しかない。それに対し古来日本の民家や社寺で使われていた柱・梁・貫・土壁・板壁による木造が「伝統工法」といわれ、筋交や金物を使わず、木組みと土壁や板壁で持たせる工法である。

 表で示した、建物の経年と固有周期を調べると、木造工法の変化でここ数十年で建物が約4倍の剛性をもつようになっているという。(固有周期が短いほど揺れにくい。)現在の木造住宅は地震に対し、金物の強度で「剛」につくるやり方で、木造ではなく「金物造」だと思うこともある。

 それに対し、「柔」なのが、「伝統工法」で、構造家の増田一真先生方がそれを現代に生かそうと金物を使わない「新伝統工法」を唱えており、非常に魅力的な実例をつくられている。在来工法をさして「木造は壁で持っている」と教わったが、全く壁なしでも構造的に成り立つという。使う材木の量は増え、コストも何割かは上がるがその分、代々にわたって長く住みつづける家が出来る。

 日本の風土に合った現代的でやわらかな家・・・自分もこの工法をもっと勉強し、現代に生かしたいと思っている。


Posted by 遠野未来 at 22:36 | ■設計・現場 | comments(0) | trackbacks(0)

アーチ型ドア
アーチ・ドア

枠詳細図

オートヒンジ

大阪のギャラリーの現場が進行中。
予算の都合で土壁が2期工事となり、今回メインになるのは入口のアーチ型のドアである。

 いろいろ調べてみるとアーチ型ドアに付けるドアクローザー(自動閉器)はオートヒンジという丁番とドアクローザーが一体となったものしかないと分かった。
径が32φとやや大きいが、見た目をすっきりさせるため、それをドア枠より前に出さずに収めるには、枠と戸あたりの形状を工夫する必要がある。
今その納まり図を原寸で検討し、現場とやり取りをしているところ。

 出来たらいい感じになると思う。現場棟梁のTさん、よろしくお願いします。

Posted by 遠野未来 at 05:45 | ■設計・現場 | comments(0) | trackbacks(0)

アーバン・エコロジー2
 昨日に引き続き「エコロジーのかたち」を読む。

 前近代的な素朴で回顧的な草の根の手づくり建築 と 超近代的に完全にコントロールされた人工物としての建築術・・・・そのどちらでも現代に対応した「美しい環境建築」とはならない。

 そのどちらでもない現代のアーバン・エコロジーとは?・・・著者によればそれはその二つを含んだ「インターフェイス」(境界面、調和)の美学だという。
モダニズムを発展的に継承し、「自然のプロセスや住民が手を加えることで生じる変化を受け入れて、建物が完成した後も時間と共に変化してゆく建築を美しいとする美学」(訳者)である。

 これはつまり、その土地の地霊を敬いながら、その場所・人・技術・・・すべてをつないで、建築としてその場に一つのいのちを与える という自分が理想とする建築だと思う。 

 建売住宅の部品をエコ住宅の部品に変えたところで、カタログから部品を選んでお手軽に作るようなつくり方では、真の環境共生住宅にはならない。部分である優秀な部品をいくら集めても、それらが有機的につながった 「全体」 がなければ「いのち」のある建築とはならないと思う。家をつくるにはその土地のすべてをつなぐ 「物語」 が必要で、それがあって初めて建築が美しくなれるのだ。もちろんデザインも洗練されていなければならない。
 
 建主さんが主役になれる家作り。アメリカの藁の家作りで有名なビル・スティーン氏が言うように、建主さんが主体的に家作りのプロセスに参加して初めて HouseがHomeになるのだ。
 
 現代のエコロジーを表現した、美しい建築を自分も目指していきたい。

 

Posted by 遠野未来 at 22:54 | ■設計・現場 | comments(0) | trackbacks(0)

アーバン・エコロジー・・・二項対立を超えて
アーバン・エコロジー・・・2項対立をこえて


 今「エコロジーのかたち」持続可能なデザインへの北欧的哲学(クラウス・べック=ダニエルセン著) という本を読んでいる。

 この本の主題はずばり「エコロジーの美学」。これまでエコロジーは美学がない前近代的表現か環境問題をテクノロジーで解決しようとする超近代的表現かそのどちらかしかなかった。その二つをつなぐ美学はあるのか?美しいエコロジー建築は可能なのか?

 ・・・このテーマは自分にとっての大テーマ言えるもので、なぜ環境を考えた建築が「美しくない」のか?「美しく」あろうとしないのか?常々疑問だった。
みんなが「美しい」と思ったものだけが次の世代に残ると思う。この本を読み進むのに合わせ、このテーマで思うところを今後書いて行きたいと思う。

Posted by 遠野未来 at 01:36 | ■設計・現場 | comments(0) | trackbacks(0)

カンガルーと土壁
 土壁の入口

内部イメージ

 今大阪でカンガルー・ポケット という飲食店+ギャラリーのデザインを行っている。
きっかけは私の自宅 神田SUの写真を見て、気に入ってくださった方からのご依頼。

 土壁で包まれる場として、カンガルーのポケットというイメージ・・・・。
そのイメージを元にここ数ヶ月、店のオーナーと二人三脚で内容を検討してきた。

 現在内装工事が始まっているが、残念ながら一番やりたい中と外の土壁は予算の関係で第二期に・・・、ということに。まずは箱としてお店をオープンさせ、土壁は店の経営状態を見ながら、長いレンジでつくってゆく・・・・。

 オーナーさんも是非実現させたいといってくださっており、これまでの作業は無駄になっていないと信じている。
 近い将来、カンガルー・ポケットが実現することを願う。

Posted by 遠野未来 at 22:10 | ■土の建築・土壁・左官 | comments(0) | trackbacks(0)

水の惑星
21-21 


 先日、遅ればせながら初めて六本木ミッドタウンに行ってきた。安藤忠雄氏設計の21_21というデザイン・ミュージアムを見学。周囲になじませてスケールを落とし、地下に展示室を持っていっていて、好感が持てた。その中で現在「水」をテーマにした展示を行っていて、それがとても興味深かった。

 その中の ふるまい(作者:takuram) という作品。様々な凹凸がある撥水効果をもった紙皿が十数個並んでいる。それに水滴をスポイトで落として揺らすと、水滴が生き物のようにころころ形を変えて回る。その凹凸がゲートだったり、こどもの顔だったり・・・その中でピンボールのように転がる水滴・・・。

 いわゆる参加型の展示なのだが、たくさんの人が絶え間なくその変化を楽しんでいた。水の分子がかたちを変え、いろいろな動き方をするということを知らせる、非常に面白い手法だ。これまで、いいものを見せようと5歳の娘をいろいろな美術館に連れて行っているが、もっとここにいたいといわれたのは初めてだった。

 もしかするとこんな手法が水以外にも使えるかもしれない。自分がよくやる土のワークショップでも、泥団子をつくるだけでなく、もっと違ったことが出来れば、・・そう思った。改めてデザインというのはコニュニケーションの手段だと感じ入った日だった。


Posted by 遠野未来 at 22:20 | - | comments(0) | trackbacks(0)

茶室の小宇宙
大徳寺 高桐院の茶室
 

 現在大阪でギャラリー+飲食店の改装のデザインをしている。その現場の帰り、久々に京都に行ってきた。

 今回の目的は京都のお寺の土壁と三和土(たたき)の土間を見ること。
半日の間、大徳寺の中の公開されているお寺を3つほど拝見したが、どの土壁や土間もいい感じで風化し、そしてそれに手を加えて使っている・・・建築が生きているという感じがした。

 その中でいくつか茶室を見学したが、改めて共感するところが大きかった。
小さなスケールの 中にある小宇宙。何より木竹土石紙・・・の自然素材で包まれてしっとりした空気が身体の芯に入り込んでくる・・・そんな心地よさ。座りながらすっと心と身体がその空気に包まれる感じがした。

 その一つ、高桐院で窓を開けてある茶室に身を置いてみる。夕刻近くのやわらかな光。障子を通した影の重なり。窓で切り取られた庭の緑。・・・
ここは自分が理想とする「環境と空間が一体となった場」があると思った。

 この空気を身体に刻み、自分のやりかたで一つ一つ建築をつくっていきたい。

Posted by 遠野未来 at 08:05 | ■設計・現場 | comments(0) | trackbacks(0)

Tono Mirai Blog Kick-off!
 皆様、

 新年あけましておめでとうございます。遠野未来と申します。
 
 本年よりblogを本格的にスタートしようと思います。
この場が、皆様とつながるきっかけになることを願い、自分が建築をつくる上での日々の想いをつづっていきます。
 
 お気軽にコメントいただけますと有難いです。
 
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 2008.01.01   遠野未来

Posted by 遠野未来 at 07:40 | - | comments(0) | trackbacks(0)

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